著者
矢内 俊裕 久保 雅子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.62-69, 1998
被引用文献数
1

Peutz-Jeghers症候群の兄弟例を呈示し, 小腸ポリープに対する手術を中心に報告する.症例1は8歳の男児(弟)で, 1歳時に直腸ポリープ切除, 5歳時に小腸ポリープによる腸重積症のため小腸部分切除の既往がある.嘔吐・腹痛を主訴に来院, 腹部超音波検査にて小腸ポリープによる腸重積像を認め, 観血的整復・空腸部分切除を施行した.先進部にはφ7mm∿2cm大のポリープが6個集蔟しており, 組織学的には過形成であった.症例2は15歳の男児(兄)で, 13歳時より大腸・胃の内視鏡的ポリペクトミーの既往がある.小腸造影にてφ3cmと4cm大の空腸ポリープを2個認め, 開腹ポリープ切除を施行した.組織学的には過形成であった.術中全小腸内視鏡検査では回腸に小ポリープが散在していた.本症の予後因子は腸重積と悪性腫瘍であり, 再手術回避のためにも, 小腸ポリープで開腹の際には他の部位の小腸ポリープに対する術中内視鏡検査とその切除も考慮すべきである.