著者
村岡 義博 矢原 功 吉崎 敏夫 原田 喜男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement7, pp.1072-1088, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

1.6059-Sの亜急性毒性試験を, 赤毛ザルを用いて実施するに先立って, 6059-Sの静脈内投与によるpilot studyを, 雌雄各1頭の赤毛ザルを用いて実施した。6059-Sの500mg/kgまたは1,000mg/kgの4日口髄続投与では特紀すぺき変化は認められなかったが, 5,000mg/kgの1回大量投与では。注入量2, 500mg/kgに連したときに, 雌に嘔吐がみられ, 投与終了後から約30分間にわたって2頭ともに鎮静状態がみられた。また, 本投与量での解剖時の病理検査において, 1頭に肝細胞と腎尿細管上皮の軽度の腫脹が認められた。2.上記pilot studyの結果を参考にして, 赤毛ザルにおける6059-Sの亜急性毒性試験を100, 300および500mg/kgの30日間静脈内投与により実施した。100, 300および500mg/kgの30日間投与によっても途中死亡例は認められず, 耐薬性は良好であった。軽度な変化として, 投与初期から軟便あるいは下痢が観察されたが, 投与継続中にそれらの症状の悪化は認められなかった。100mg/kg投与群の1例において, 下痢, 体重減少, 血液生化学的所見の変化等の多彩な変化がみられたが, 特異な個体であると考えられた。本例を除けば, 6059-S投与に起因すると考えられる明らかな変化は観察されなかった。なお本実験の赤毛ザルでの最大無作用量は500mg/kg/日であると結論された。