著者
中村 秀明 染谷 泰子 矢島 務 阪本 奈美子 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.651-658, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
16

救急救命士が実施する静脈路確保(IVA)における穿刺部皮膚温と実施結果との関係を検討した。方法:BANDO メディカルコントロール協議会所属の茨城西南消防本部において 2018 年8 月1 日〜2019 年3 月31 日に記録された静脈路確保282 症例を対象とした。結果:穿刺部皮膚温が高温群(28.5℃≦)では,低温群(28.5℃>)に比し穿刺静脈の太さ(p<0.05),視認性(p<0.01),触知性(p<0.01)いずれも高く,IVA 所要時間は有意(p<0.05)に短かった。IVA 実施救急救命士の経験年数は高温群が有意に短かった(p<0.05)ものの,成功率は高い(57.6% vs 62.8%)傾向にあった。考察:穿刺部皮膚温が高いほうが穿刺静脈の性状が良好であり,IVA に要する穿刺時間が短縮される。
著者
中村 秀明 阪本 奈美子 染谷 泰子 矢島 務 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.331-338, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

救急救命士が実施する静脈路確保(peripheral intravenous cannulation;PIVC)の成否因子を検討した。方法:BANDO-MC において2018年8月1日〜2019年2月28日に記録されたPIVC 381症例を対象とした。結果:傷病者の年齢(OR 0.97,95%CI 0.958-0.994;p<0.05)の増加とともにPIVC成功率の低下を認めた。静脈の太さ(OR 1.34,95%CI 1.142- 1.591;p<0.001)と静脈の視認性(OR 1.22,95%CI 1.051-1.425;p<0.001)はPIVC の成功に寄与していた。考察:静脈の形状がPIVCの成否に影響しており, それらを改善することはPIVCの成功率の上昇に寄与する可能性が示唆された。
著者
中村 秀明 阪本 奈美子 染谷 康子 矢島 務 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.505-512, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
11

目的:静脈路確保成否因子に沿った講習会の教育効果を明らかにすること。方法:BANDOメディカルコントロール協議会において,2018年8月1日〜2019年10月31日までの15カ月間のうち静脈路確保が実施された688症例を本研究の対象とした。講習会では,成否因子に基づき血管透過モデルを自作し,静脈の走行をイメージさせる教育を行った。その後,講習会前後に分類し静脈路確保成功率と所要時間を比較検討した。結果:講習会後,静脈路確保の成功率は53.8%(205/381)から62.9%(193/307)に有意に上昇した(p<0.01)。そのなかでもショック症例は51.0%(53/104)から75.6%(68/90)に有意に向上した(p<0.01)。講習会後のPIVC 所要時間は,2分58秒から2分22秒に有意に短縮し(p<0.05),低血糖症例の所要時間は3分から2分24秒に有意に短くなった(p<0.05)。結語:成否因子に沿った静脈路確保講習会は成功率と所要時間を改善する。