著者
中村 秀明 匂坂 量 阪本 奈美子 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.7-14, 2021-04-26 (Released:2021-05-10)
参考文献数
8

【目的】自動胸骨圧迫装置判断に影響する因子とその使用が静脈路確保(以下,PIVC)に及ぼす効果を明らかにする。【方法】2018年8月1日から2019年2月28日にBANDOメディカルコントロール協議会の4消防本部において記録された心肺停止傷病者に対するPIVC321症例を対象とした。【結果】実施者因子では,救急救命士の年齢が若く,拡大二行為認定経過年数が長いこと。傷病者因子では,年齢が若い,男性に自動胸骨圧迫装置が装着されやすい因子であった。自動胸骨圧迫装置群のPIVC成功率は有意に低く(44.6% vs 62.6%:p<0.05),静脈の性状とPIVC所要時間に関して有意差は見られなかった。キーワード:救急救命士,心肺停止,静脈路確保,静脈路確保成否因子,自動胸骨圧迫装置
著者
中澤 真弓 中村 秀明 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.17-22, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
9

はじめに:救急車の不適正利用が社会問題となっている。目的:一般市民が,救急車を呼ぶべき救急疾患を示唆する状況に遭遇した場合,救急車を呼ぶ判断をするのかを明らかにする。方法:2016年5月,全国の一般市民5,000人を対象にインターネットによる質問調査を実施した。結果:平均年齢45.2(± 14.6)歳。「救急車を呼んだことがある」38.5%,「自分または身近な人が救急車で運ばれたことがある」62.6%,「救急車を呼ぶべき症状について見聞きしたことがある」46.9%。救急車を呼ぶべき状況では,15症例中9項目で「どちらともいえない」と回答した割合が15%を超えた。考察と結論:一般市民は救急車を呼ぶべき救急疾患を示唆する状況にある傷病者に遭遇した場合でも,救急車を呼ぶかどうか判断できない場合もある。その際,救急車を呼ぶとの判断ができるように,緊急度を判定するツール等のさらなる周知が必要である。
著者
戸塚 武美 中村 秀明 宮崎 康宜 中村 哲久 鈴木 宏昌
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.248-252, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
5

目的 : 機械的CPR装置 (MCD) が救急救命士の特定行為や予後に与える影響について検証した。方法 : 救急隊が積極的CPRを行った524症例を後方視的に調査し (A) 平均活動時間, (B1) 静脈路確保 (IVA) 試行率と (B2) 成功率, さらにアドレナリン適応123症例の (C) 投与率, (D) 病院前心拍再開率, (E) 予後について, 用手的CPR群 (HCC群) と機械的CPR群 (MCD群) に分け比較検討した。結果 : (A) HCC群13.2分, MCD群13.1分。 (B1) HCC群85.1%, MCD群92.5%。 (B2) HCC群59.6%, MCD群73.8%。 (C) HCC群32.2%, MCD群63.6%。 (D) HCC群13.3%, MCD群30.3%。 (E) 生存退院率はHCC群7.8%, MCD群12.1%。MCD群で有意にIVA試行率 (p<0.05) と成功率 (p<0.01), アドレナリン投与率 (p<0.01), 病院前心拍再開率 (p<0.05) が高かった。生命予後に有意差は認めなかったが, 脳機能良好で退院した7例はすべて病院前心拍再開例であった。まとめ : 現場活動におけるMCDの使用は, 活動時間を延長することなく効率的な蘇生処置を可能にし, 病院前心拍再開率を高めることから, 神経学的機能予後を改善することも期待される。
著者
中村 秀明 染谷 泰子 矢島 務 阪本 奈美子 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.651-658, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
16

救急救命士が実施する静脈路確保(IVA)における穿刺部皮膚温と実施結果との関係を検討した。方法:BANDO メディカルコントロール協議会所属の茨城西南消防本部において 2018 年8 月1 日〜2019 年3 月31 日に記録された静脈路確保282 症例を対象とした。結果:穿刺部皮膚温が高温群(28.5℃≦)では,低温群(28.5℃>)に比し穿刺静脈の太さ(p<0.05),視認性(p<0.01),触知性(p<0.01)いずれも高く,IVA 所要時間は有意(p<0.05)に短かった。IVA 実施救急救命士の経験年数は高温群が有意に短かった(p<0.05)ものの,成功率は高い(57.6% vs 62.8%)傾向にあった。考察:穿刺部皮膚温が高いほうが穿刺静脈の性状が良好であり,IVA に要する穿刺時間が短縮される。
著者
中村 秀明 中澤 真弓 井上 隆康 田中 幸太郎 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.659-664, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:二項目の処置拡大により救急救命士の静脈路確保(intravenous approach;IVA)の機会が増加し, このことが手技の成功率に及ぼす影響を明らかにする。方法:茨城西南地方広域市町村圏事務組合消防本部の2014年1月1日〜2016年12月31日までの処置拡大二項目の実施記録とウツタインデータから後ろ向きに調査した。結果:処置拡大前後の全IVA成功率は52.2から63.2%に上昇した(p<0.01)。心肺停止例(cardiopulmonary arrest;CPA)に限定しても52.2から63.8%と有意に上昇していた。また,対象別にみたIVA成功率はCPAで58.5%ともっとも低く,低血糖で78.5%と有意に高かった。考察:処置拡大により救急救命士がIVAを実施する機会が増加したことで,全IVAの成功率のみならず,CPAに対するIVA成功率も改善することが示唆された。
著者
中村 秀明 阪本 奈美子 染谷 泰子 矢島 務 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.331-338, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

救急救命士が実施する静脈路確保(peripheral intravenous cannulation;PIVC)の成否因子を検討した。方法:BANDO-MC において2018年8月1日〜2019年2月28日に記録されたPIVC 381症例を対象とした。結果:傷病者の年齢(OR 0.97,95%CI 0.958-0.994;p<0.05)の増加とともにPIVC成功率の低下を認めた。静脈の太さ(OR 1.34,95%CI 1.142- 1.591;p<0.001)と静脈の視認性(OR 1.22,95%CI 1.051-1.425;p<0.001)はPIVC の成功に寄与していた。考察:静脈の形状がPIVCの成否に影響しており, それらを改善することはPIVCの成功率の上昇に寄与する可能性が示唆された。
著者
三浦 房紀 鈴木 素之 村上 ひとみ 中村 秀明 多田村 克己 瀧本 浩一 朝位 孝二 大島 直樹 久長 穣 榊原 弘之 三石 真也 中田 幸男
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、行政と住民が協力して災害時の情報を収集、処理、提供するとともに、災害時要援護者の安否確認を迅速に行い、救助活動を支援するシステムの開発を行った。入力情報には、気象庁の情報のほか、地震計と3次元雨量計を設置して、独自でも入力できるシステムとした。広く住民に情報を提供するためには、デジタルサイネージを用いて、安否確認システムの要援護者が持つ端末はスマートフォンを用いて、サーバはクラウドシステムを用いてシステム構築を行った。宇部市をモデル地域として、市の防災や福祉に関連する部署、高齢者、聴覚障碍者の協力を得て、プロトタイプシステムを構築、その機能検証を行った。
著者
小濱 健吾 中村 秀明 神田 信也 水谷 大二郎 杉崎 光一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.261-269, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
48

近年,土木の分野において積極的なAI技術の導入が期待されている.しかしながら,AI技術に関する知識不足は,AI技術の導入による効果の適切な把握や,AI技術を利用するために必要な各種データの収集を困難なものとし,AI技術の導入の障壁となってしまう.本論文は,AI技術を実業務において直面する様々な課題に活用したいと考えている土木技術者のために,教材の作成を目標として,理解に必要となる基礎的な知識の概要を説明する.具体的には,AIという言葉により示されているAI技術を適切にイメージできるようにAIの歴史を説明する.また,AI技術を利用するために必要な考え方やインプット・アウトプットを整理する.最後に,実事例の紹介を通じてAI技術に対する理解の定着を図る.
著者
中村 秀明 阪本 奈美子 染谷 康子 矢島 務 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.505-512, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
11

目的:静脈路確保成否因子に沿った講習会の教育効果を明らかにすること。方法:BANDOメディカルコントロール協議会において,2018年8月1日〜2019年10月31日までの15カ月間のうち静脈路確保が実施された688症例を本研究の対象とした。講習会では,成否因子に基づき血管透過モデルを自作し,静脈の走行をイメージさせる教育を行った。その後,講習会前後に分類し静脈路確保成功率と所要時間を比較検討した。結果:講習会後,静脈路確保の成功率は53.8%(205/381)から62.9%(193/307)に有意に上昇した(p<0.01)。そのなかでもショック症例は51.0%(53/104)から75.6%(68/90)に有意に向上した(p<0.01)。講習会後のPIVC 所要時間は,2分58秒から2分22秒に有意に短縮し(p<0.05),低血糖症例の所要時間は3分から2分24秒に有意に短くなった(p<0.05)。結語:成否因子に沿った静脈路確保講習会は成功率と所要時間を改善する。
著者
中村 秀明 王 桂萱 江本 久雄 宮本 文穂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.107-118, 2006

コンクリート構造物に発生するひび割れを予測するためには,まず始めに温度解析を行い,その結果をもとに温度応力解析が行われる.これら数値解析の精度は,入力する材料特性値によるところが大きく,正確な材料特性値を入力しなければ,正確な解析結果は得られない.本研究では,鳥の群れや魚の群泳など群れを成して移動する生物の行動パターンを最適化に応用した Particle Swarm Optimization (PSO) を用いて,現場での温度計測結果から熱特性値を推定する熱伝導逆解析手法を提案した.PSO による逆解析で求めたれた熱特性値は,一般的に用いられている値とは若干異なっているものの,複数の熱特性値が比較的容易に同定できる.
著者
永井 泉治 吉武 勇 中村 秀明 浜田 純夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.665, pp.183-188, 2000-12-20
参考文献数
2
被引用文献数
3

本研究は, 山岳トンネル坑口部の橋梁における車輌の積雪スリップ事故防止策として, 山岳トンネル特有の湧水を利用した温水パイプ式ロードヒーティング実験を実施し, 検討を試みたものである. またその基礎実験として, 熱伝導特性の異なるコンクリートについて熱伝導試験を行うとともに, その融雪効果を調べた. トンネル湧水を用いた現場実験より29cm/dayの降雪量に対しても, 無雪状態にすることができたため, 温水パイプ式ロードヒーティングへのトンネル湧水適用の有効性が確認できた.
著者
中村 秀明
出版者
崇城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ピラルビシン(THP)は他のアントラサイクリン系薬物と比較し高い細胞内取り込み、細胞傷害性を示した。さらにHPMAポリマーを用い高分子化し、P-THPを作成し検討したところ、他の高分子化アントラサイクリンと比較し、P-THPは細胞内取り込みおよび細胞傷害性とも優れていた。P-THPは高い腫瘍集積性、抗腫瘍効果を示し、重篤な副作用を起こさず、S-180腫瘍の完全消失、ヒトすい臓がんモデルの腫瘍縮小をもたらした。これらの結果より、P-THPは腫瘍への選択的集積性、高い細胞傷害性を示すことが示され、すい臓がんなどの固形癌に有効であると考えられる。