著者
矢賀部 隆史 宮下 達也 吉田 和敬 稲熊 隆博
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.141, no.5, pp.256-261, 2013 (Released:2013-05-10)
参考文献数
60
被引用文献数
2 1

野菜や果物は栄養学上「体の調子を整えるもの」として,ビタミン,ミネラルの重要な供給源であるが,これら栄養成分の他にも,ファイトケミカルと呼ばれる「健康によい影響を与える」化合物が微量含まれている.中でも,天然の色素であるカロテノイドは,経口摂取すると吸収,運搬され,様々な組織に蓄積する.カロテノイドは,そのプロビタミンAとしての作用や活性酸素を消去する抗酸化作用から,多くの疾病の予防や改善への効果が期待されてきた.本総説では,野菜や果物に含まれている主なカロテノイドである,リコピン,β-カロテン,ルテイン,ゼアキサンチン,β-クリプトキサンチン,カプサンチンについて,それぞれ特にエビデンスが蓄積し,予防や改善が確かになりつつある疾病への効果について,最近の疫学研究の成果を中心に紹介する.