著者
矢野 里佐 矢野 博已 木下 幸文
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.133-138, 1995

本研究では, 高強度運動が肝機能に及ぼす影響を検討することを目的とし, Sprague-Dawley系雄性ラット5匹を用いて高強度運動時の肝門脈血流変化を捉え, さらに血清GOT, GPT, CPK, LDH活性値などの肝機能検査に加えて, 肝障害を特異的に反映するとされる血清グアナーゼ活性と, 血清ピアルロン酸の分析を行った.(1)高強度運動は, 運動開始後5分以降に, 門脈血流量を有意に減少させた.(2)肝機能検査では, 血清GOT, GPT, CPK活性はともに高強度運動によって有意に上昇した(p<0.05)が, 血清LDH活性は変化を認めなかった.高強度運動は血清グアナーゼ活性を有意に上昇させた(p<0.05).一血清HY濃度は, 肝門脈血清HY濃度から肝静脈血清HY濃度を差し引いたHYuptakeで比較すると高強度運動群で有意に低位(p<0.05)を示した.これらの結果から, 高強度運動は, 肝門脈血流量を減少させ, 肝実質細胞, 及び類洞細胞の機能に影響を及ぼすことが示唆された.