著者
矢野 壽人 正田 誠
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.216-222, 1997 (Released:2011-11-08)
参考文献数
10

某印刷工場の改築にあたり, 有機溶剤の排出防止対策を検討した。まず, 既設印刷工場の有機溶剤排出状況と作業環境濃度を調査した。有機溶剤の主成分は酢酸エチル, イソプロピルアルコール, トルエンであり, 排出濃度は合計で448ppmと東京都の排出規制値 (3成分合計濃度200ppm以下) をオーバーしていた。また, 作業環境濃度も最高で762ppmであった。そこで, 当印刷工場の実排ガスを対象に, ベンチスケールの活性炭吸着式脱臭装置による有機溶剤除去実験を行った。実験は粒状とペレット状の2種類のヤシ殻活性炭について, 脱臭装置の出ロガス合計濃度が10ppmに達するまでの時間 (破過時間) を調査した。その結果, 粒状炭の破過時間 (充填層高260mm, 接触時間1.3secの条件) は38時間, ペレット炭の破過時間 (充填層高330mm, 接触時間1.65secの条件) は29時間であった。以上の結果, 活性炭吸着法は有機溶剤の除去方法として適用可能なことが判明した。