著者
矢野 幸介
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.113-117, 2021-12-31 (Released:2022-07-01)

私たちは学習・仕事と余暇と休息の時間を使って生活している。つまり,時間は私たちの効用の鍵となる概念である。本稿では,これらの時間で構成される効用のモデルをつくるときに,このモデルは何を説明するのかを考えることにする。初めに,私たちの効用は賃金と余暇時間から得られると本稿では仮定する。このとき,この効用を構成する賃金は,人的資本と労働時間より生じると仮定する。そして,また,この人的資本は,余暇時間と労働時間から生じると仮定する。このようにみることで,労働時間と余暇時間はともに効用に影響を及ぼす結果となる。私たちは,労働時間と余暇時間とからなるこの効用への影響のつりあいをもつ。このとき,労働時間は人的資本を高めたり,労働生産性を高めたりする。このことは,余暇時間が人的資本を高めたり,効用を高めたりするのと等しいことを意味する。