- 著者
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相良 博典
知花 なおみ
沼尾 利郎
中島 宏和
- 出版者
- 獨協医科大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1999
肺サーファクタントは主に肺胞II型上皮細胞で合成、分泌される脂質・蛋白質複合体で肺胞被覆層を形成し肺胞表面の気相・液相界面の表面張力を低下させることにより呼気時における肺胞の虚脱を防いでいる。また、サーファクタント蛋白には感染防禦、免疫制御などの多彩な機能があ乱気管支喘息の本質的異常は、中枢部気管支粘膜における好酸球性炎症とそれに続発する気管支の機能障害と考えられてきたが、最近、多くの研究から、好酸球性炎症は末梢気道や肺胞領域でも起こっていることが明らかになってきた。この領域における炎症の存在は肺サーファクタントに影響を与える可能性があり、逆に、サーファクタントの異常が炎症反応に影響を及ぼすことも考えられる。今回、喘息における肺サーファクタントの異常の有無、肺サーファクタントが喘息病態に及ぼす影響、サーファクタントの合成・分泌細胞である肺胞II型上皮細胞の好酸球性炎症への閧与の有無を明らかにする目的で、以下の研究を行った。1.モルモット慢性喘息モデルにおける肺サーファクタントに関する研究、2.気管支喘息患者の肺サーファクタント関連蛋白に関する研究、3.好酸球のinterleukin(IL)-8に及ぼすSP-Aの影響についての研究、4.肺胞II型上皮細胞によるIL-16の産生に関する研究を行った。その結果として喘息肺では、その病態の強さに応じて肺サーファクタントの量的、質的、機能的異常が起こっている可能性があること、そのサーファクタント異常は、肺胞・末梢気道の開存性に影響を与えるばかりでなく、その領域の炎症反応をも修飾する可能性があることが示された。肺サーファクタントの正常化も、特に末梢気道優位型の喘息では治療目標の1つになる可能性がある事を示唆したものである。