- 著者
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谷 勇介
石月 亜由美
尾熊 洋子
石井 俊夫
- 出版者
- 高知リハビリテーション学院
- 雑誌
- 高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.45-49, 2011-03-31
本研究は,大腿骨近位部骨折術後の歩行能力関連要因の検討および受傷前歩行能力の早期再獲得(術後4週間以内)に影響する要因について検討した.対象は大腿骨近位部骨折術後患者15例であった.歩行能力の関連要因として患側荷重率,疼痛,患側・健側の等尺性膝伸展筋力,握力を測定した.歩行能力の分類には順位尺度を用い,歩行補助具の補助が大きい順に平行棒,歩行器,四点杖,T字杖,独歩とした。測定日は各歩行補助具で監視歩行が20m以上可能となった日と術後1週毎とした.歩行能力と各関連要因との相関を求め,術後4週以内に受傷前歩行能力を獲得した者(以下,獲得群)8例と獲得できなかった者(以下,非獲得群)7例に分け比較した.歩行能力と各関連要因は患側荷重率で強い相関(rs=0.70,p<0.01)を認めた.獲得群と非獲得群の比較では,獲得群で術後1,2,3週目の患側荷重率が有意に高値を示した(p<0.05 ).本研究において,大腿骨近位部骨折術後の歩行能力の獲得に最も関連する要因は患側荷重率であり,術後1週目の患側荷重率は受傷前歩行能力の早期再獲得を予測する指標になり得る可能性が示唆された.