- 著者
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石井田 恵
Megumi Ishiida
- 出版者
- 同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
- 雑誌
- 一神教世界 = The world of monotheistic religions (ISSN:21850380)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.58-77, 2019-03-31
近年、キリスト教シオニズムは、世界情勢を理解する上で看過できないグループとして存在感を増してきている。キリスト教シオニズムは欧米だけでなく、日本にも存在する。中田重治(1870-1939)は、日本ホーリネス教会の源流となった伝道者である。中田はユダヤ人に強い関心を持ち、1932年以降、イスラエル主義への傾倒を強めた。そして、世界の終わりにイスラエルが回復され、その時、日本人が軍事的および宗教的な使命を果たすと主張した。本稿ではイスラエル主義とも呼ばれる中田の晩年の思想を、日本におけるキリスト教シオニズムの一例として考察し、中田がユダヤ人の回復に救済史的意味を認め、ユダヤ人に過度な理想を投影していた可能性、さらにそれが多重的なユダヤ人理解を形成させ、結果的に、反ユダヤ主義を批判した中田を無意識的に反ユダヤ主義的にさせた可能性を指摘する。また、考察を通して、キリスト教シオニズムが一部のクリスチャンに支持されている理由、キリスト教シオニズムが抱える課題を明らかにすることを目指す。