- 著者
-
石原 広大
井澤 和大
森沢 知之
- 出版者
- 日本理学療法士学会
- 雑誌
- 理学療法学 (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- pp.11747, (Released:2020-07-16)
- 参考文献数
- 18
【目的】我々は,腹部大動脈瘤破裂術後に腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:以下,ACS)を合併し,術後経過が重症化した症例に対して,理学療法を施行した。その後,良好な転帰を得たため報告する。【症例紹介】症例は,腹部大動脈瘤破裂術後にACS を発症した60 歳代後半の患者である。術後経過において,ACS による循環不全や呼吸不全,多臓器不全が認められ,長期集中治療管理と入院加療が必要であった。我々は,ACS の病態や術後経過に応じて,呼吸理学療法や離床,運動療法を展開した。その結果,症例は人工呼吸器の離脱が可能であった。また,身体機能と運動耐容能は向上し,自宅退院が可能であった。【結論】腹部大動脈瘤破裂術後にACS を合併した症例に対しても,病態に応じた慎重な理学療法は実施可能であり,早期の運動機能と基本動作能力の獲得に貢献できる可能性がある。