著者
石塚 仁保 寺原 史貴 松木 有莉 櫻田 啓介 中村 裕一 鈴木 千波 小原 秀治 小原 郁司
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.48-56, 2020 (Released:2020-07-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

薬剤師はスペシャリストとして求められる領域が拡大しているが,認定・専門薬剤師のキャリアパスに関連する意識調査は少ない。本研究では,JA北海道厚生連札幌厚生病院の全薬剤師(37名)を対象とし,キャリア形成と資格取得・研究活動に関する意識調査を行なった。Googleフォームによる無記名,選択肢および記述回答式の調査を実施したところ,有効回答率は100%であった。キャリアパスに関する設問では,現在重視している業務と将来重視したい業務を比べた際,「幅広い経験・知識・技能を習得する」を選択した割合は前者で多く,「専門領域の経験・知識・技能を深める」と「認定・専門薬剤師の資格取得」を選択した割合は後者で多かった。このことから,現在は幅広い経験・知識・技能の習得を重視し,将来においては専門性を深めていきたいと考えていることが推測された。認定・専門薬剤師に関する設問では,資格取得を志す理由として「関連する分野への興味」が最も多く選択されており,専門分野への興味が資格取得の最も大きな動機になることが考えられた。研究活動に関する設問では,「日常業務との両立」や「研究時間の確保」,「研究メンバーとの連携」が研究活動を行なううえで困ったこととして多く選択されていた。このことから,時間の有効活用,さらに周囲との連携等も必要になることから,時間の確保とスケジュール管理が重要になることが考えられた。