著者
石川 りみ子 小林 臻
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-9, 2005-03

研究目的:当大学の過去2年間の保健室での利用状況をみてみると、頭痛・腹痛・体調不良など内科的な主訴で保健室を訪れる学生は少なくなく、これらの不定愁訴は食習慣のみでなく睡眠を含めた生活習慣との関連も否定できない。将来、保健医療の立場から健康教育に携わるであろう看護大学生が、既習した専門知識を自己の生活行動にどう反映しているかを把握することは、専門知識を持つ看護大学生への健康教育を行う上で重要である。そこで、本研究は健康知識を習得した学生の生活行動を睡眠と食生活の視点から実態を調査し、適切な健康教育を行うための示唆を得ることを目的とする。研究方法:対象者は、本学の4年次の女子学生で特別の場合を除く過去一ヶ月間の睡眠状態と食習慣について、質問紙への自己記入法によるアンケート調査を行った。対照群は先行研究での調査対象者であった県内の看護学校(全日制)2校の3年次女子である。調査内容は、年齢、BMI(Body Mass Index)、睡眠習慣と食習慣に関する項目である。結果及び結論:1)看護大学生の睡眠習慣を看護学生と比較すると、平目は有意に看護大学生は就寝・起床時刻が遅く、「朝目覚めたとき気分が悪い」、「昼間我慢できない程眠い」と回答した学生の比率が高かったことから、就寝の習慣を早めに改善する必要性が示唆された。2)家族と同居している看護大学生は、一人暮らしと比較して睡眠量が有意に少なかったことから、十分な睡眠量の確保の指導的関わりの必要性が示唆された。3)食習慣について、看護大学生は看護学生と比較して有意に各食事とも欠食の傾向を示し、食事のとり方の改善の必要性が示唆された。4)朝食については、一人暮らし群が有意に欠食する学生の比率が高く、夜食をとる傾向があり、朝食の欠食は夜食との関連が示唆された。5) BMI分類による食習慣の傾向については、やや肥満以上群に昼食の欠食の傾向がみられ、食品の摂り方についての工夫の必要性が示唆された。
著者
石川 りみ子 ミヤジマ 厚子 比嘉 憲枝 西平 朋子 川満 光子 糸満 るみ
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.98-107, 2001-02

研究目的:慢性呼吸器疾患患者は入退院を繰り返し、療養期間は長期に及ぶ。本研究は呼吸障害を有する慢性呼吸器疾患患者が再燃に伴う再入院を避け、病気と共存し円滑な在宅療養が送れるための支援の糸口を導くため、対象の特性を明らかにすることを目的とする。 研究方法:調査対象者は慢性呼吸器疾患患者で呼吸状態の増悪により救急センターを有するT医療機関に、平成11年10月1日から平成12年3月31日の間に入院加療を受け退院する患者とした。再入院を除く6ヶ月間に退院した患者数は101人で、分析はその中の拒否・意志疎通の困難な患者5名を除く96人で行った。調査項目は、1基本的事項、2生活環境、3身体的状況、4療養に関すること、で退院時にカルテ及び患者・家族から面接法を用いて情報を収集した。結果及び結論: 1)対象者は、3割が80歳以上の後期高齢者で、65歳以上の高齢者が全体の約9割を占めていた。7割近くが趣味をもち、過半数に意欲が認められ、3分の2以上の人が恵まれた家庭・住居環境の中で生活していることが推察された。 2)身体的状況では COPD が72%と最も多く、平均して3〜4の複数の呼吸器疾患を有し、8割近くの人が歩行時に呼吸障害を有し、約半数が入浴等酸素消費量の増大する ADL に対して援助を受けていた。 3)再入院の主な原因は肺炎・気管支炎等の感染、喘息発作であり、対象者の約2割は喫煙習慣を有し、BMI と血清総蛋白、血清アルブミン値の血液検査の結果から栄養状態の低下が推察され、喫煙および栄養状態改善の重要性が示唆された。 慢性呼吸器疾患患者が在宅で円滑に療養できるためには、呼吸機能を如何に維持し、機能低下につながるような肺炎等による再燃を予防するかが重要となる。自己の呼吸機能や健康状態を正確にとらえ医療・福祉をうまく活用し、家族のサポート体制を整え家族とともに自己管理してゆくことが、円滑な在宅療養につながると考える。