著者
石川 保幸
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

活動依存的シナプス可塑性は広く学習と記憶の細胞学的基盤として受け入れられている。なかでもシナプスの連合性は活動依存性のシナプス可塑性においてシナプスの印付けと新規に合成される神経可塑性関連タンパク質との相互作用によって説明することが出来る。可塑性関連のセリン・プロテアーゼ(neuropsin)がシナプス入力依存的に長期増強(LTP)特異的にシナプスタグ形成に関係すると報告した。Neuropsinはインテグリンβ1およびCaMKIIシグナルによってシナプスの連合性に寄与する事が明らかとなった。シナプスの印付けの役割は、複雑な神経ネットワークの制御および情報処理に役立っていると考えられている。すなわち、このメカニズムが破綻した場合、様々な神経疾患を引き起こすことが考えられる。この発見は今後、シナプス連合の異常とされる PTSD の発症機構の解明などに役立つと考えられる。