著者
石川 勇一
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.62-86, 2016 (Released:2019-08-06)

本研究では、第一にアマゾン・ネオ・シャーマニズム の外的概要とこれまでの心理学/精神医学的研究の展 望を行い、第二には、ネオ・シャーマニズムの内的心 理過程について、現象学的な事例検討を行い、初期仏 教の視点からの検証を加えた。その結果、事例からは、 深層心理の強烈な浄化体験、悪業の自覚、懺悔、自我 の死と再生の過程、異界(餓鬼界と兜率天)体験、業 と業果、縁起と無我の法の感得、多次元における法友 (シャーマン、儀式のメンバー、神々、霊的鳥、精霊たち、 ジャングル全体)との出会い、世界との一体感などの 体験が明らかにされた。以上の事例研究と多くの先行 研究とを総合すると、アマゾン・ネオ・シャーマニズム は、心の準備が十分に整った人々にとって、適切な宗 教的環境が整っていれば、きわめて強力で豊かな心理 療法的効果と霊的成長への効果をもつ、貴重な伝統で あると結論できる。