著者
石川 千恵
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

転写因子NF-κB/AP-1の核内輸送にはインポーチン(IPO)蛋白質が重要である。HTLV-1感染が原因の成人T細胞白血病(ATL)の治療標的としてIPOを検証した。感染T細胞でIPOβ1の発現が亢進し、IPOβ1のノックダウンやIPOβ1阻害剤インポータゾル、IPOα/β1阻害剤イベルメクチンは感染T細胞株の増殖や生存を抑制した。両阻害剤はNF-κB/AP-1の核内移行を遮断し、両転写因子制御下の細胞周期関連蛋白質やアポトーシス阻害蛋白質の発現を抑制した結果、G1期での細胞周期停止とカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導した。さらに、ATLマウスモデルでイベルメクチンは抗腫瘍効果を発揮した。