著者
寺西 慶 石川 敦之 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.A15-A29, 2016 (Released:2016-08-10)
参考文献数
115
被引用文献数
3 4

アルカノールアミンによるCO2の化学吸収法は,発電所などの大規模CO2排出源における排出削減措置として現在最も有効な手段の1つと考えられている.現在,主にCO2回収過程におけるエネルギーコストの削減を目的として様々な吸収液が開発されており,CO2吸収液に用いられるアミンの分子設計が実験・理論の両面から精力的に進められている.本稿では,CO2とアミンの化学反応の理解・分析において理論計算,特に量子化学計算および第一原理分子動力学計算がどのように用いられてきたかを解説する.
著者
高田 雄太 大越 昌樹 星野 稔 石川 敦之 石川 誠 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.242-249, 2014 (Released:2014-10-12)
参考文献数
47

DNAは電荷輸送特性を有し,生理的な機能のみならず電荷輸送デバイスとしての応用が期待されている.電荷輸送特性のうち,ホール移動に関して,実験的・理論的研究から多くの知見が得られてきた.しかしながら,過剰電子移動(EET)に対する知見は限定的である.本研究ではMarcus理論に基づいて,密度汎関数理論(DFT)レベルの量子化学計算によるDNA内EET速度の算出を試みた.隣接チミン間のEET速度の計算値(2.31 − 3.49 × 1010 s−1)は,実験値(4.4 ± 0.3 × 1010 s−1)を良く再現した.また,ミスマッチ(MM)塩基対を含む系に本手法を適用し,MM塩基対の挿入によるEET速度低下のメカニズムを明らかにした.