著者
大平 泰子 石川 浩二 芦原 睦
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.236-244, 2011
参考文献数
18

本稿は,製造業事業所において実施してきたメンタルヘルス対策を,予防策としての効果と実践可能性の観点から検討する.本稿で報告するのは,2006年度に定期健康診断を受けた3,882名の従業員(男性3,464名,女性418名,正規社員3,402名,契約社員480名,平均年齢40.5±12.3歳)に実施されたプログラムである.メンタルヘルス不調の有無を調べるために,定期健診の際にメンタルヘルスに関する問診表および保健師問診を実施し,そのいずれかで抽出された従業員に対して産業カウンセラー面接と産業医診察を実施した.結果,新規に22名(0.6%)のメンタルヘルス不調者を把握した.メンタルヘルス不調ではないと判断された従業員に対しても,カウンセリング,環境調整などの予防的介入を行った.本対策を実施した2003年度と2006年度には他の年度よりも事業所内診療所メンタルヘルス部門の来談者が増加し,うち定期健診以外の来談経路による来談者が減少した.この結果は,本対策が二次予防(早期発見・早期治療)および一次予防(発症予防)として有効であることを示唆している.さらに,小人数の産業保健スタッフで効率的にメンタルヘルス対策を実践しえた.このような高い実践可能性は,メンタルヘルス対策の推進にとって重要である.