著者
石川 稿大郎 田仲 哲也 島崎 敬一
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-6, 2011 (Released:2014-03-15)
参考文献数
8

ラクトペルオキシダーゼの酸化還元活性を利用した抗菌作用は,ラクトペルオキシダーゼシステムとして広く知られている。これは過酸化水素とチオシアン酸イオン(SCN-)からラクトペルオキシダーゼがハイポチオシアン酸イオン(OSCN-)を生成し,殺菌作用を発揮するものである。ラクトペルオキシダーゼの酵素活性は他の化学物質に対しても応用できると考え,細胞傷害を誘発することが知られている化学物質の作用を抑制する可能性について検討した。すなわち,細胞に対して酸化的ストレスを与え,アポトーシスを誘発することが知られているナフトキノン誘導体の培養細胞(Caco-2)に与える影響をラクトペルオキシダーゼ添加で阻止できるかどうかを調べた。対象としたのは 1,4-ナフトキノン-スルホン酸カリウム,2,3-ジクロロ-5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン,2-メチル-1,4-ナフトキノンである。細胞生存率,ポリ-(ADP-リボース)-ポリメラーゼの検出,細胞形態の観察などから,ラクトペルオキシダーゼ添加の有効性が観察された。