- 著者
-
石川 義彦
- 出版者
- 安全工学会
- 雑誌
- 安全工学 (ISSN:05704480)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.4, pp.233-239, 2010-08-15 (Released:2016-09-30)
NBC 災害という言葉が使われて10 年近く経つ.東京消防庁ではそれ以前より危険物や毒物・劇物,RI 等を取り扱う施設や輸送中の火災,漏洩等に対応しており,1990 年には化学機動中隊を設立して消防活動体制の一層の強化を図った.しかし地下鉄サリン事件では原因物質不明のまま初動の活動を行い,結果として職員の受傷等数々の課題を残した.このため化学テロも踏まえた装備や資器材,教育訓練,活動体制等の強化を図るとともに,その後も茨城県での臨界事故や米国での同時多発テロ等を踏まえて様々な対策を講じてきた.NBC 災害を取り巻く環境は変化しており,最近では家庭用洗剤等の混触による硫化水素発生事故が多発するなど今後も新たな形態の災害の発生が懸念される.このような状況を踏まえ,東京消防庁が取り組んでいるNBC 災害対策の現状について紹介する.