著者
石川 雅敏
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.212-219, 2008
参考文献数
20

本論文では,ジェネンテック社におけるバイオテクノロジーを基礎とした医薬品開発の過程を振り返り,ジェネンテック社におけるイノベーション・ダイナミクスについて考察した。ジェネンテック社は1980年前後に遺伝子組換え技術を発明した。この遺伝子組換え技術を用いることによって,ジェネンテック社は,数多くの遺伝子組換え医薬品を発明することに成功した。ジェネンテック社は,さらに遺伝子組換え技術から抗体技術を開発した。そして,抗体技術を用いることによって,さらに連続的に抗体医薬品を開発することに成功した。このような特徴的なイノベーションのダイナミクスによって,ジェネンテック社は連続的な医薬品開発に成功したと考えられた。ジェネンテック社におけるイノベーションのダイナミクスは,アッターバックがタイプライター産業において報告したイノベーション・ダイナミクスとは異なる方向性のダイナミクスである。