著者
塚本 貞次 水崎 幸一 吉田 紀夫 石本 陽子 坂田 良子 唐崎 裕治
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.11-21, 1998-03

著者らは、ニンニク(Allium sativum L)の鱗茎中に耐熱性のタンパク質が存在することを見い出した。このタンパク質の精製は、90℃、30分間の熱処理、ゲル濾過法、DEAE-トヨパールカラムクロマトグラフィーで行った。この精製物は、ディスク電気泳動で単一バンドを示し、ゲル濾過法により分子量は、20kDaと測定された。さらに、SDS-スラブーPAGEでは、分子量は11kDaであった。このタンパク質は、ダイマーであることがわかった。アミノ酸組成の特徴は、酸性アミノ酸とそのアミドが約30%も含まれることであった。N-末端アミノ酸配列(1-36)を決定し、他のタンパク質との相同性を調べた結果、スノードロップやラムソンのレクチンに類似していた。さらに、Van Damme, J.M.他がcDNAから推定したニンニクのレクチンと、ほぼ一致した。また、このタンパク質は、ヒトの赤血球を凝集させた。以上のことより、このタンパク質は、レクチンであると確認した。ニンニクのレクチンは、収穫期である6月頃に含量が高く、月日の経過とともに減少することもわかった。