著者
塚本 貞次 岡元 孝二 稲永 順二 唐崎 裕治
出版者
産業医科大学、産業医科大学学会
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.147-157, 2008-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
7

我々はニンニク鱗茎より糖質を精製した. この化合物は10個のフルクトースとβ1-2で1個のグルコースに結合する分子量1800のオリゴ糖であり, 植物イヌリンと類似した構造を持つものであった. このオリゴ糖はヒトのリンパ球性ガン細胞U937および大腸ガン細胞WiDrの増殖を抑制した. さらにマウスに経口的投与をした場合において, マウスに移植したColon26ガン細胞の増殖を抑制することがわかった. またヒト末梢血リンパ球に対してインターフェロンγ の産生を増大させることから, ニンニクオリゴ糖はガン細胞に直接結合してガン細胞の増殖を阻害する働きがあると同時に, in vivoの系において免疫的活性を増大させてガン細胞の増殖を抑制する可能性があることが示唆された.
著者
塚本 貞次 水崎 幸一 吉田 紀夫 石本 陽子 坂田 良子 唐崎 裕治
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.11-21, 1998-03

著者らは、ニンニク(Allium sativum L)の鱗茎中に耐熱性のタンパク質が存在することを見い出した。このタンパク質の精製は、90℃、30分間の熱処理、ゲル濾過法、DEAE-トヨパールカラムクロマトグラフィーで行った。この精製物は、ディスク電気泳動で単一バンドを示し、ゲル濾過法により分子量は、20kDaと測定された。さらに、SDS-スラブーPAGEでは、分子量は11kDaであった。このタンパク質は、ダイマーであることがわかった。アミノ酸組成の特徴は、酸性アミノ酸とそのアミドが約30%も含まれることであった。N-末端アミノ酸配列(1-36)を決定し、他のタンパク質との相同性を調べた結果、スノードロップやラムソンのレクチンに類似していた。さらに、Van Damme, J.M.他がcDNAから推定したニンニクのレクチンと、ほぼ一致した。また、このタンパク質は、ヒトの赤血球を凝集させた。以上のことより、このタンパク質は、レクチンであると確認した。ニンニクのレクチンは、収穫期である6月頃に含量が高く、月日の経過とともに減少することもわかった。