著者
石村 雄一 竹内 憲司
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.7-15, 2016 (Released:2016-02-17)
参考文献数
36

本研究は,東日本大震災によって発生した災害廃棄物の広域処理について,受入自治体の特徴をマスコミ報道内容等の調査および統計的手法によって明らかにした。ロジットモデルによる分析の結果,義援金額,ボランティア参加率が災害廃棄物の受け入れに有意な正の影響を与えていることが示された。すなわち,住民による被災地への支援が大きい自治体ほど,災害廃棄物の受け入れに積極的であり,その傾向は東日本の自治体において顕著であることがわかった。また,福島第一原子力発電所からの距離,農業従事者の人口割合が受け入れに有意な負の影響を与えていることがわかった。これらは放射性物質のリスクに対する懸念が,広域処理にとって大きな障害となっていることを示しているものと解釈できる。