- 著者
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石橋 一久
押野谷 康雄
- 出版者
- 東海大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
申請者らはトラックなどの大型車両における運転疲労低減技術として,シートサスペンションをアクティブ制御するシステムの研究を行ってきており,その基礎事項の検討を実車レベルで終了している.本申請課題は,これまでに得られた知見を活用し,今後高齢者の使用頻度が高まると予想されるLSV(Low Speed Vehicle)におけるアクティブシートサスペンションの開発を目的とした.LSVは,米国運輸省(DOT)が正式に認めている低速交通システムであり,すでに米国ではいくつかのコミュニティで高齢者ドライバが快適に運転できるシステムが構築されつつあり,日本においても21世紀の暮らしを快適・便利にする交通システムとして,LSVと同様な機能を有するコミュニティーカーが着目されはじめている.特に,1,2人乗り用としてデザインされた超小型サイズの電気自動車が,ここ数年各メーカから販売されている.リサイクル性の配慮や普通車相当の安全性を確保されているものもあり,一定地域内での移動手段また小旅行にも十分な機能を備えている.超小型サイズの電気自動車に対する需要は益々増大することが予想され、さらなる高付加価値製品開発への必要性も高まっている.本研究では低速走行専用の超小型車両を対象として,高齢者運転時の振動・衝撃の緩和,さらに非舗装道路走行時の不規則な外乱の抑制,不慣れな軽量超小型車両に対する違和感の除去等を実現しながら,快適性の向上による心身のストレス低減に基づいた運転疲労低減技術の開発を行った.1人乗り電気自動車に対し、小型かつ簡易装着可能なアクティブシートサスペンションを設計・製作し,複数被験者の官能評価に基づいた乗り心地,疲労抑制効果を検討しながら,高齢者評価中心のシステムを構築した.当該研究期間内には,高齢者の超小型車運転疲労における交通環境依存性の掌握と主観的な特性や身体的特性を考慮した制御系の確立を行い,これまで学術的に十分整理されていないこの分野の体系化を行った.