著者
石橋 功至
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.16-24, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
53

数十億を超えるセンサが環境中のあらゆる情報を収集し,これを機械学習によって活用することで,災害の予測や,これまでにない公共サービスを提供する社会の実現が期待されている.しかし膨大な数のセンサを長期的に稼働させる上で,電池切れに伴うメンテナンスコストは無視できない.この問題に対して,光や熱,振動,化学反応,浮遊電磁波といった様々な物理現象から電力を得る環境発電 (EH: energy harvesting) が注目されている.EH電源を用いることで,センサはメンテナンスなしで半永久的に電源供給を受け,情報を伝送することができるが,周囲の状況によって通信に使える電力量が変動してしまうため,従来の安定的な電源供給を前提とした無線通信設計とは異なる設計が必要となる.本稿ではEH電源の原理を紹介した上で,様々なネットワークトポロジにおけるEH電源を用いた無線通信の研究動向,また残された問題について解説する.
著者
石橋 功至 落合 秀樹 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.305, pp.91-94, 2006-10-12
被引用文献数
1

近年,遅延ダイバーシティ(Delay Diversity)技術が再び注目を集めている.遅延ダイバーシティは送信信号を複数のアンテナから時間遅延させて送信することでダイバーシティ利得を得ることのできる非常にシンプルな送信ダイバーシティ技術である.一方,周波数分割多重(OFDM)と差動符号化振幅位相変調(DAPSK)の組み合わせは,高い周波数利用効率とシンプルな送受信回路系が実現できる技術として知られている.OFDMに遅延ダイバーシティ技術を用いた場合,各アンテナで与えられる時間遅延がガードインターバル長を超える必要性があり,周波数利用効率を著しく低下させてしまう.この問題を解決する手法としてOFDM変調信号を巡回させながら遅延させる巡回遅延ダイバーシティ(CDD)という技術が提案されている.本稿では,巡回遅延ダイバーシティを用いた符号化DAPSK変調方式を提案し,計算機シミュレーションを用いて,提案方式が任意の送信アンテナ本数分のダイバーシティ利得が得られることを示す。また,提案方式のパラメーターの最適化についても議論する.
著者
撰 広嗣 丹所 啓太 石井 光治 石橋 功至 落合 秀樹 和田 忠浩 生越 重章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.445, pp.289-294, 2009-02-25
被引用文献数
1

近年,無線センサネットワークに関する研究が活発に行われ,様々なアプリケーションへの応用が検討されている.一方で,実装上における問題は多く残されており,特に電池の寿命に対する要求は十分満たされているとはいえない.本稿では,ZigBee開発キットによる野外・温室における通信実験を行い,現状の無線センサネットワークの問題点について議論するとともに,協力無線センサネットワークの必要性について議論する.