著者
石橋 聰
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

森林を管理していくうえでその成立過程を知ることは重要であるが、北海道の針広混交林の場合少なからず火山の爆発による噴出物等の影響を受けており、その林分推移を調べることで施業への貴重な知見を得ることができると考えられる。そこで本研究では、北海道中部の十勝岳の爆発による泥流跡に成立した森林において61年間観察を続けたデータを用いて、その林分推移を解析した。調査地は十勝岳山麓標高700mの美瑛川左岸にあり、安政年間(1854~1860)の十勝岳爆発による泥流跡に成立した林分内にある。設定は1954(昭和29)年で、調査区面積は1ha(100m×100m)である。 その結果、立木本数は61年間減少傾向を示し、調査開始時のほぼ半分の本数となった。一方、林分材積は増加し続けていたが、10年前をピークに減少に転じた。これはこの10年間にエゾマツ、トドマツ大径木の枯死が多く発生したためであり、二次林が成熟林に移行しつつあるとみられる。また、林型については下層に広葉樹の更新木が見られることから、今後は単層林型から複層林型へ変化していくと予想される。