著者
石田 義明 久加 朋子 清水 康行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1429-I_1434, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

2016年の北海道豪雨は,既往最大を記録するもので,過去に経験をしたことのない大洪水が全道各地で発生した.本論文では,空知川幾寅築堤における2ヶ所の堤防決壊に着目し,破堤と地形特性が氾濫状況に及ぼす影響について検討した.結果,上流破堤部が決壊した後,氾濫流は3m/s以上の高速で下流破堤部へと流れ込んだことが示された.また,下流破堤部の決壊の有無を比較し,この破堤が外水氾濫の排水機能を発現したことで,実質的な洪水被害の軽減につながったことが示された.さらに,今回の氾濫を昔の川の痕跡と比較した結果,氾濫流の流れは後背地の畑の下に隠れていた旧流路跡をたどり,本川へと再合流する様子が再現された.この現象は,水衝部における破堤や溢水箇所が若干異なっても,同様の結果を示すものであった.