著者
笹島 学 石野 正剛 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.58-61, 2006-03-30

本研究はモバイルコミュニケーション時代における経験を基にしたユーザーエクスペリエンスデザインの事例を示すことを目的としている。ここでは、時間の経過を可視化した携帯電話の待ち受けアプリケーションの提案をする。face to faceではない非同期モバイルコミュニケーション環境において、ユーザーが実際に対話を行う前に交わす「気配」を情報空間のなかで可視化することに主眼を置いた。開発をする際にはコンセプト段階から日常の携帯電話利用の体験を基にして「気配」をどのような観点からデザインすべきか検討し、相手との通話の前に発信者の状態がわからないという体験から、発信者のコール数や受信者が非同期で着信を確認するまでの時間の可視化を行った。時間の経過を表現するビジュアルデザインにおいても、コンセプト表現を伝達しやすいモチーフの探求を行った。今回は、携帯アプリケーション開発を行うにあたって、体験を基にしたコンセプト作りから、具体的な最終成果物への展開まで一連のプロセスについて紹介する。本研究の成果物はWebサイトに公開され、今後は作成したアプリケーションを実際のユーザーで評価を行う予定である。