著者
石黒 要 今井 哲也 品川 誠
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.1639-1642, 2005-07-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は68歳,女性.慢性関節リウマチのため10年以上プレドニゾロン10mg/日を服用していた. 2003年9月18日,腹痛を認め救急車にて搬送された.腹部CT検査にて小腸穿孔・汎発性腹膜炎と診断,手術を施行した.回盲部より30cm口側の回腸に穿孔を認め,小腸切除術を施行した.病理組織学的検査では,潰瘍底にカンジダの増殖を伴う潰瘍を2カ所に認め,うち一方が穿孔していた.医学中央雑誌で過去10年間を検索したが,カンジダによる成人の小腸穿孔の報告はなかった.カンジダは易感染性の患者に日和見感染症を起こし重篤になる場合がある.小腸カンジダ症は稀ではあるが,潰瘍や穿孔の一因になりうるということを,再度認識する必要があると思われた.