著者
磯村 直樹 鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.4, pp.542-551, 2009-04-01

近年,人間と対話のできるコンピュータ(対話システム)は様々な分野で利用されている.このようなシステムの実現のためには,性能の定量的評価が不可欠である.チケット,切符の予約などを目的としたタスク指向型対話システムでは,客観的・定量的な評価法がある程度確立されているのに対し,雑談などを目的とした非タスク指向型対話システムではアンケートなどの主観的な評価法が用いられているにすぎない.本論文ではテキスト対話を取り上げ,非タスク指向型対話システムの客観的・定量的な評価法を提案する.本論文では,いわゆる対話の「浅い構造」にのみ着目し,発話間のつながりという最低限の自然さを評価することを試みる.本手法では,人間同士の対話は自然で理想的な対話であると仮定し,人間同士の対話に発話タグを手動で付与し,付与したタグの系列を学習したHMMを作成する.実験の結果,HMMによって複数の非タスク指向型対話システムの性能を比較評価できることが確認された.