著者
大野 かおり 磯谷 悦子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.27-34, 1998-03-05

時系列変化の初期-被災後初期-には避難所などに待避する者が多い一方で,高齢者や病弱者などが自宅に取り残されている。阪神・淡路大震災時のローラー作戦の結果と今回の調査結果より,これら弱者の把握,ニーズの把握を適時に行い適切な看護援助を提供することは非常に重要であるということが明らかになった。すなわち救命救急医療期の終わった頃(災害から1週間程経った頃),在宅生活者の保健衛生管理や診療の継続のための看護援助が必要となるのである。そして時宜を逸せず看護援助を提供するには,大量動員による一斉訪問が有効である。また災害時の情報管理や平常時からの弱者把握により,一層効果的な援助が提供できる。訪問に際してはニーズの把握からケアの提供までトータルに対応できる看護職者が望ましい。以上の結果をより具体的に検討し在宅生活者に対する看護援助のモデル(一般化)としていかなければならない。