著者
小枝 美由紀 大野 かおり
出版者
一般社団法人 日本在宅ケア学会
雑誌
日本在宅ケア学会誌 (ISSN:13469649)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.65-75, 2023 (Released:2023-09-26)
参考文献数
19

訪問看護師とホームヘルパーが連携しながら与薬を行うためのモデルを検討した.訪問看護ステーション管理者15名,訪問介護事業所サービス提供責任者13名にグループインタビューを実施し質的帰納的分析を行うとともに,先行研究で得られた連携の概念モデルと統合することで,連携モデルを作成した.モデルには,連携の前提となる4要素,連携の実践内容となる4要素,連携の効果となる3要素が得られた.連携の実践内容となる要素では,【情報の共有と統合】により具体的な与薬の方法が共有されたのち,【役割を分担,補完しながら共に与薬する】実践が始まり,その際,【与薬を行うための共有ツールの作成と活用】が行われる状況があった.また,連携がより上手く機能していくための基盤となるものとして【連携の基盤作り】があった.今後は,実際に現場で運用することによるモデルの有用性の検証と,更なる精錬を行う必要がある.
著者
大野 かおり 磯谷 悦子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.27-34, 1998-03-05

時系列変化の初期-被災後初期-には避難所などに待避する者が多い一方で,高齢者や病弱者などが自宅に取り残されている。阪神・淡路大震災時のローラー作戦の結果と今回の調査結果より,これら弱者の把握,ニーズの把握を適時に行い適切な看護援助を提供することは非常に重要であるということが明らかになった。すなわち救命救急医療期の終わった頃(災害から1週間程経った頃),在宅生活者の保健衛生管理や診療の継続のための看護援助が必要となるのである。そして時宜を逸せず看護援助を提供するには,大量動員による一斉訪問が有効である。また災害時の情報管理や平常時からの弱者把握により,一層効果的な援助が提供できる。訪問に際してはニーズの把握からケアの提供までトータルに対応できる看護職者が望ましい。以上の結果をより具体的に検討し在宅生活者に対する看護援助のモデル(一般化)としていかなければならない。
著者
南 裕子 神崎 初美 岡本 玲子 大野 かおり 内布 敦子 神原 咲子 片山 貴文 井伊 久美子 新井 香奈子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

まちの保健室に対する住民のニーズを2つの記述的研究により調査した。ひとつは兵庫県全土で開催されているまちの保健室来訪者を対象としたもので、405人の有効回答者で最も多かった疾患は高血圧(22.8%)、次に糖尿病(9.1%),高脂血症(8.9%),不整脈(1.2%),リウマチ(1.0%)であった。もう一方は地域住民3064人のうち有効回答858人(23.7%)へ認知症に関するまちの保健室のニーズを調査した。認知症の種類や薬物療法について知らないものが、41.2%と57.5%であった。身近に疑いのある人が「いる」は23.6%、認知症について相談してみたいは85.9%であった。また、まちの保健室を新たに立ち上げる準備のため(10項目)、設立のため(10項目)、立ち上げた後の効果的な運営のため(7項目)の立ち上げ運営支援マニュアルを作成した。相談技術を開発するためには、がん専門看護師によるがん患者へのフォーカスグループインタビューを企画し、がん療養相談技術カテゴリーを作成した。また、専門家による口腔ケア支援のモデルを作成した。女性の健康班では、相談機能において後方支援に期待される機能を明らかにするために、ボランティアNsへのインタビューを実施し、結果を基に相談の実態及び困難を支援できるマニュアルを作成した。ボランティア看護師のための教育研修を継続実施している。その効果を測定するため講習会の前後で得点を比較しほぼ全項目で有意に改善していた(p<0.05)。平成18年度129拠点で実施された活動実績報告と教育・研修会班が実施したボランティア看護師へのアンケート・座談会から抽出した質問集に、班で作成した回答を加えWeb上に反映させボNsが簡単に利用できる仕組みとした。看護師がまちの保健室活動を行うにあたっての困難は、「本職が忙しい」「活動に対する上司の理解がない」が主であり、職場での理解が必要であることが分かった。まちの保健室看護師支援を目的とし、Webと携帯サイトにFAQを作成し、記述や閲覧ができるようにした。これは、セミナーグループワークでの発言やWeb上の記述から作成した。
著者
武田 弘美 那須 則子 藤原 智恵子 川端 佳子 田中 靖子 大野 かおり 平田 雅子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.19-25, 2001-03-27

褥瘡の発生および悪化の原因として「摩擦」がある。摩擦は皮膚と着衣,着衣と寝具との間など,接触している物体どうしの間に必ず生じるものである。本研究は,寝衣等の着衣と寝具との間に生じる摩擦について測定し,どのような場合に褥瘡の原因と考えられるか,またどうずれば予防できるのかを検討した。今回は実習で使われる筋注用のモデルを用いた。結果としてモデルで得られた値は剛体に近く,人体への影響を検討するのは困難であったが,(1)最大静止摩擦係数(最大静止摩擦力)は運動摩擦係数(運動摩擦力)よりも大きい。(2)バスタオルは固定した場合の摩擦力は大きくなるので,バスタオルの上で人体を移動させるときは特に慎重に行わなければならない。(3)多く着衣すると摩擦力は大きくなる。ただしこれは,着用している衣類と寝具の間の摩擦である。(4)ダミーでは何も着けない状態だと摩擦力は大きくなる,といった結果が得られた。