著者
宮坂 靖子 光石 亜由美 磯部 香
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

女性の主婦化と「性-愛-結婚」三位一体観とを特徴とする日本の近代家族の生成・存続を可能にしたのは、植民地(朝鮮、台湾、満洲)の存在であった。日本帝国主義は植民地政策において、近代的教育制度と近代公娼制度を利用して、ジェンダーと民族を差異化し階層化することによって、近代家族規範を成立させた。近代家族の「性-愛-結婚」三位一体観は、家族への性愛規範の普及によってのみ成立したのではなく、近代公娼制の存在を必要とした。しかし、近代家族規範は日本国内においてのみ完結したのではなく、日本(宗主国)の外部である植民地に近代公娼制度を移出することにより、自らをより強固なものとしたのである。