著者
社団法人日本地理学会 企画専門委員会
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.38-71, 2011 (Released:2011-12-17)
被引用文献数
2 2

大学教育における地理学教育の在り方,および地理学教室に存在するシーズと社会のニーズのマッチング等を踏まえた「地理学の社会貢献の在り方」を検討するには,大学・大学院で地理学を専攻した者のうち,教育機関以外(地方公共団体,シンクタンク,マスコミ,NPO等)で活躍する人材(以下,「実務地理関係者」と称す)の実態を把握・分析することが有用である.また,「実務地理関係者」は,地理学の知識や手法を実際上活用しているが,地理学の成果が社会に貢献しているとの認識が社会一般にはほとんどない.一方,実務地理関係者の実態は,従来は地理学教室の卒業生からの散発的な口コミ情報で定性的に把握されるに留まっており,社会における実務地理関係者の実態を大規模かつ客観的なデータにより調査した研究は,ほとんど存在しない.そこで,地理学関係学会に所属する実務地理関係者へのアンケート調査を実施し,地理学の素養を持った人材が教育・研究以外の実社会においてどのように活躍しているのか,その際に地理学的知識や手法が社会においてどのように活用されているのか等を定量的・客観的データから明らかし,地理学の社会貢献の在り方について企画専門委員会(2008~2009年度期)および2名の調査協力者が分析と考察を行った.