著者
三上 岳彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.79-88, 2006 (Released:2010-06-02)
参考文献数
24
被引用文献数
2

日本の都市ヒートアイランド研究が大きく進展している.東京都心部の年平均気温は過去100年間に3°Cも上昇しており,地球平均気温の5倍の上昇率である.都市高温化の要因としては,第一に人工廃熱の増加による都市大気の直接加熱,第二に都市構造の変化,すなわち地表面の人工化や高層建造物の増加,緑地・水面の減少が挙げられる.最近行われた一連のプロジェクト研究から,都市内大規模緑地のクールアイランド効果や東京湾海風に及ぼす高層ビル群の影響,さらに高密度観測網による都内気温分布の日変化と海風による移流効果などが解明されつつある.今後のヒートアイランド問題の解明には,気候学をはじめ,気象学,建築・土木工学,医学,生態学など多くの分野における学際的な研究が不可欠である.
著者
二村 太郎 荒又 美陽 成瀬 厚 杉山 和明
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.225-249, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
67
被引用文献数
1

生理学・生物地理学の研究者であるジャレド・ダイアモンドが1997年に上梓したノンフィクション『銃・病原菌・鉄』は,一般書として英語圏で幅広い読者を獲得し,2000年に刊行された日本語版も売れ行きを大きく伸ばしていった.地理的条件の違いがヨーロッパ(ユーラシア)の社会経済的発展を優位にしたと主張する本書については,そのわかりやすさとダイナミックな内容ゆえに多くの書評が発表された.しかしながら,本書は英語圏では地理学者をはじめ学術界から数々の強い批判を受けてきたのに対し,日本では多方面から称賛されており,また地理学者による発信は皆無に近い.本稿は主に書評の検討を通して英語圏と日本における本書の受容過程を精査し,その差異と背景について明らかにする.また,これらの検討を通じて本稿では,諸外国からの地理学的研究成果の積極的な導入が必要であるとともに,より批判的な視点が求められることを論じていく.
著者
二村 太郎 荒又 美陽 成瀬 厚 杉山 和明
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.225-249, 2012

生理学・生物地理学の研究者であるジャレド・ダイアモンドが1997年に上梓したノンフィクション『銃・病原菌・鉄』は,一般書として英語圏で幅広い読者を獲得し,2000年に刊行された日本語版も売れ行きを大きく伸ばしていった.地理的条件の違いがヨーロッパ(ユーラシア)の社会経済的発展を優位にしたと主張する本書については,そのわかりやすさとダイナミックな内容ゆえに多くの書評が発表された.しかしながら,本書は英語圏では地理学者をはじめ学術界から数々の強い批判を受けてきたのに対し,日本では多方面から称賛されており,また地理学者による発信は皆無に近い.本稿は主に書評の検討を通して英語圏と日本における本書の受容過程を精査し,その差異と背景について明らかにする.また,これらの検討を通じて本稿では,諸外国からの地理学的研究成果の積極的な導入が必要であるとともに,より批判的な視点が求められることを論じていく.
著者
山本 政一郎 尾方 隆幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.68-83, 2018 (Released:2018-03-16)
参考文献数
44

高等学校の地理教育,地学教育で共通する自然地理学,地球物理学,地質学に関連する項目の用語や説明について,2017年度に使用されている「地理A」「地理B」「科学と人間生活」「地学基礎」「地学」の全ての教科書で比較検討した.その結果,地理教育,地学教育それぞれの中でも,両者の間でも異なる用語が多いことが分かった.また,学術用語と教育用語とに齟齬がある場合もみられた.今後は,現在の科学界の知見を高校教育に反映させて,よりふさわしい用語や説明を検討・採用していく必要がある.
著者
河本 大地
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.50-60, 2014-03-31 (Released:2014-04-23)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

ジオパークに関わる動きが活発化している.その中で日本においては,多くのジオパーク,およびそれを目指す地域で,地方自治体が主導する形がとられている.そこで本稿では,行政主導型のジオパークマネジメントの先例として,ピレネー山脈のスペイン側にあるソブラルベジオパークをとりあげ,意義と課題を整理した.その結果,地質・地形等に関わる施策を展開しやすくなったこと,学校教育との連携などが行政主導型マネジメントの意義として,見いだされた.他方,ジオパークに関する民間の主体的活動はほとんど見られず,またジオパークとしての取り組みが地質・地形関係に特化するなど行政の縦割りの弊害も存在する.しかし,域内企業とのパートナーシップ協定やマウンテンバイク用ルートの整備等,地質・地形への関心喚起や地域資源活用の手法は,日本のジオパークにとって参考になると考えられる.
著者
岩田 修二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.153-164, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
18

高等学校地理教科書の世界の大地形の記述に使われている用語や説明の一部は不適当である.造山帯・安定陸塊の概念は地質構造を説明するものである.したがって,世界の山岳地域の大地形の説明として新期造山帯・古期造山帯を用いるのは止める.それに替えて地形の説明は平面形・高さ・傾斜などの地形の指標でおこなう.プレート論と整合するように変動帯を正しく説明する.造山帯・安定陸塊(楯状地・卓状地)の概念は鉱物資源の説明のためには有効である.ただし,地質学の概念であることをきちんと説明すべきである.このように教科書を改訂するためには,まず大学教員が努力しなければならない.高校教科書の「世界の大地形」の改訂案が付属資料として添付してある.
著者
牛垣 雄矢 木谷 隆太郎 内藤 亮
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.85-97, 2016 (Released:2016-06-23)
参考文献数
28

本研究は,東京都千代田区秋葉原地区を対象に,2006年と2013年に行った現地調査結果を基に,商業集積の特徴と変化を考察した.同地区ではメイド系店舗が集積し,飲食・サービス業化が進んでいる.アイドル関係の小売店や劇場も増加し,アニメ女性から実在する女性を嗜好する消費者へとターゲットが移りつつある.家電業界における企業再編の影響を受け,秋葉原駅付近の表通りでは戦前・戦後直後に開業した店舗が閉店して娯楽・飲食系のチェーン店が進出し,商業空間の均質化が進んでいる.街の飲食・サービス業化や街と関係性の薄い業種の店舗が集積したことで,消費者の関連購買行動が弱まり,商業集積地としての強みも減じている.一方,雑居ビルで構成される裏通りでは,メイド系店舗が多数入居して特徴のある空間を維持している.その雑居ビルでも残存・成長できる店舗は少なく,少女アニメ関係やメイド系店舗は激しく入れ替わる形でその集積を維持している.
著者
石坂 愛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.299-315, 2016-09-30 (Released:2016-10-11)
参考文献数
17

本研究では,都市化と宗教弾圧の歴史の中で発展した新宗教の聖地における教団と地域住民間の土地をめぐる葛藤の実態とその要因を明らかにすることを目的とする.研究方法として,奈良県天理市において進められる天理教教会本部の宗教都市構想の基盤となる八町四方構想に着目し,その計画地をめぐる地域住民と教団の交渉過程と,構想に対する地域住民の意識を追った.その結果,調査対象者の地域住民のうち約90%が天理教信者であるにも関わらず,約45%がこの構想に葛藤を抱いていることがわかった.その要因として,①教団の持つ宗教的イデオロギーと自身の考える教理の不一致があることがわかった.その他の要因として,②地域住民内部での八町四方構想に関する知識共有の薄弱化③教団と土地所有者のみで取り行われる土地・建物の譲渡交渉が考えられる.
著者
埴淵 知哉 村中 亮夫 安藤 雅登
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.81-98, 2015-01-01 (Released:2015-10-08)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

社会調査環境の変化を受けて,廉価で迅速にデータを収集できるインターネット調査に注目が集まっている.本論文では,標本の代表性と測定の精度という二つの側面からインターネット調査の課題を整理するとともに,実際に行われた調査データを用いて,回答行動,回答内容,そして地理的特性について分析した.その結果,インターネット調査における標本の偏りや,「不良回答」が回答時間と関連していることを確認し,地理的特性がそれらと一定の関連をもつことを指摘した.さらに,地理学における今後のインターネット調査利用の課題と将来の利用可能性について考察した.
著者
柚洞 一央 新名 阿津子 梶原 宏之 目代 邦康
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-25, 2014-03-31 (Released:2014-04-23)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

ジオパークは,地形・地質遺産が主となって構成されるが,特に,これまで日本のジオパークでは地質公園的な側面が強く現れていた.Global Geoparks Networkのガイドラインでは,地形・地質のほか,生態系,考古,歴史,文化的価値を持つものの重要性も述べられている.それらは地理学的視点によって関連性を科学的に整理し理解することが重要である.地理学の成果にもとづいて,それぞれのジオパークのストーリー,ナラティブが構築されれば,その地域で発生している問題の解決の糸口を与えることになるだろう.そうすることにより,ジオパークの活動が持続可能な発展を目指すものとなる.
著者
大島 英幹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.145-151, 2016 (Released:2016-03-15)
参考文献数
17

高等学校の教員は,新しい学習指導要領に対応して,GISの活用を工夫することが求められている.そのため,GISの専門家は,設備や予算に見合ったGISサイト・ソフトの選択や教員の指導,GIS教材の開発などを通じて,教員を支援してきた.本稿では,これらのGISの専門家による支援の事例をレビューした.その結果,GISを用いた地図を作成するよりもGISの地図を閲覧するための支援が重要であり,そのためにはGISの操作を録画した動画の制作が有効であることが明らかになった.
著者
河本 大地
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.534-548, 2018 (Released:2018-12-06)
参考文献数
42

「身近な地域」の調査とウィキペディア編集の組合せの有効性と課題を,大学の初年次教育における実践をもとに整理することが本稿の目的である.対象地域は古都・奈良のならまちで,奈良教育大学の近くに歴史的町並みを有する.学生は,ならまち各町を「マイタウン」として担当し,ウィキペディア記事を作成するとともに,自治会長等への聞取りや施設訪問などをおこない,成果を報告会でのプレゼンテーションや,小学生向け冊子にまとめた.取組みを分析した結果,初年次教育として広範な意義が認められた.また,大学教育におけるローカルなフィールドワークおよびその成果の発信によって得られる知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性・多様性・協働性が明らかになった.大学および学生と地域社会との関係性構築にも寄与しており,初年次教育に対する地理学の貢献可能性を見出せる.
著者
埴淵 知哉 山内 昌和
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.14-29, 2019 (Released:2019-01-29)
参考文献数
28

近年,国勢調査の「不詳」増加が懸念されている.本研究は,国勢調査の調査票未提出に関連する諸要因を明らかにし,データの補正や解釈,あるいは将来の調査改善に役立つ情報の獲得を目的とした.インターネット調査により収集された,国勢調査の回答状況を含む個票データの分析から,若年層や未婚者,単身世帯,短期居住者などが未提出になりやすく,特に年齢が未提出発生の基本的な関連要因であることが示された.また,大都市圏居住者において未提出が生じやすいこと,プライバシー意識は予想に反して未提出に結び付いていないこと,国勢調査の理解度が年齢とは独立して未提出に関連していることなども明らかになった.国勢調査データを地域分析に利用する際には,これらの偏りがもたらす疑似的な地域差・地域相関の可能性に留意するとともに,将来の国勢調査では,年齢層を問わず調査結果の利用・公開方法を広く周知していくことの重要性が指摘された.
著者
成瀬 厚
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.78-95, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
34

日本国内の航空旅客数は減少傾向にあり,国や地方自治体が管理する多くの空港は赤字経営が続いている.さまざまな空港利用促進事業が行われるなかで,近年は空港に愛称や通称をつける動きがある.本稿はこの動向を中心に地方空港の運営状態を地理学的に考察することを目的とする.本稿では,地理学における場所論と地名研究,場所のプロモーション研究を参照することで,空港を一つの場所としてとらえている.国内の政治的階層,地理的スケールにおいて中間の位置を占める地方自治体は,下位の地域住民から意見を集約し,決定した名称を上位の国家から公認を取得する形で公式化する.空港名の愛称化の目的は日本全体に対する地方空港の認知度や親しみやすさの向上であり,それに付随して空港で開催されるイベントの目的は地域住民に対するイメージの向上であると同時に空港施設の多目的利用化であるといえる.
著者
荒又 美陽 大城 直樹 山口 晋 小泉 諒 杉山 和明
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.273-295, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
34

東京は2020年にオリンピック・パラリンピック競技大会を開催することとなった.同メガイベントの招致は,1964年には高度成長を促進させたのに対し,今回はグローバル化に伴う脱工業化に合わせた都市改造となる可能性がある.本論文は,その流れを検討するために,1988年ソウル,1998年長野,2012年ロンドンのオリンピック大会の都市・地域開発,また伊勢志摩サミット開催地のセキュリティ面での対策とそれぞれの現在までのインパクトを,現地調査及び資料に基づいて分析するものである.明らかになったのは以下の点である.ソウルと長野の開発は,一方は経済成長,他方は財政状況悪化の象徴として扱われているが,いずれも現在まで残る都市基盤や地域産業の基礎を提供した.またロンドンは社会的剥奪の大きい地の再開発という一つの型を作り出したことに特徴があり,伊勢志摩では過剰な警備がその後の観光資源となるという意外な結果を生み出している.
著者
熊原 康博
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-34, 2010 (Released:2010-08-23)
参考文献数
53

本研究では,江戸時代の五街道の一つである中山道の関東平野の範囲を対象に,平野地域における歴史的な街道の地形条件の特徴を明らかにした.研究の方法は,街道のルートを正確にマッピングし,第二次世界大戦直後の空中写真の実体視により街道沿いの地形を分類した.本研究で明らかになったことは,平野全体でみた場合,そのルートは比較的直線であり,台地をできるだけ通過し,山地や丘陵,沖積低地を避ける傾向があることである.また,地形分類でみた場合,以下の特徴が挙げられる.台地では開析谷を避け,面の分水界に沿う傾向があること,扇状地性の台地では等高線に平行する弧を描くルートをとること,沖積低地では自然堤防を伝い,旧河道や後背湿地,河川を可能な限り通過しないことである.これらの特徴からは,高低差を少なくする通行の容易性と,水害を避けるという安全性の両面に配慮していることが指摘できる.ただし,いくつかの地点では,安全性よりも容易性を優先したルートも認められる.
著者
小林 茂
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.52-66, 2006 (Released:2010-06-02)
参考文献数
63
被引用文献数
1 4

第二次世界大戦終結まで,日本がアジア太平洋地域で作製した地図を「外邦図」と呼んでいる.外邦図の多くは,旧日本軍が作製し,その性格からこれまで利用が限られてきたが,近年は景観・環境の長期的変化を考える上で重要な資料と考えられるようになってきた.ただしその利用にあたっては,東アジアの近代史を意識しつつ,作製過程や仕様,精度などを解明する作業が不可欠である.そこで本稿では,ここ数年間関係者の協力を得て研究を進めてきた成果を紹介する.外邦図の多様性に始まり,外国での秘密測量,台湾や朝鮮など旧植民地での地籍測量に伴う地形図作製,外国製図の複製や空中写真測量の発展など外邦図に関連する主要なトピックついて触れ,あわせて東アジア地域への技術移転にも言及する.
著者
村田 陽平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.165-190, 2012 (Released:2012-03-26)
参考文献数
139

本稿の目的は,現代日本の地域政策において主要な課題の一つである喫煙問題に対して,受動喫煙に苦しむ当事者の視点から,身近な環境問題としての受動喫煙被害の実態を明らかにすることである.2007年から2008年にかけて,タバコ問題に取り組む市民団体等の紹介を経て,東京,名古屋,大阪の三大都市圏において受動喫煙被害の当事者に対する聞き取り調査を実施した.その結果,現代の日本では,さまざまな日常空間において受動喫煙の被害が生じており,それにより少なからず生活に支障をきたしていることが明らかになった.本稿の調査を通じて,日本の受動喫煙対策が不十分であることが導出されるとともに,早急な法的整備などによる社会環境の改善が望まれる.
著者
長谷川 直子 横山 俊一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.202-220, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
18

本稿では,学生が主体となった雑誌の出版やテレビ出演などのアウトリーチ活動から,社会がそれをどのようにとらえ,また学生自身が社会の反応をどのようにとらえたのかについて考察した.当初は授業の成果を出版することで地理学をアウトリーチする意図があった.しかし社会からは,男性的なイメージの強い地理に女子がいることの意外性から女子の側面が取り上げられ,発信した学生の中には当初の意図と違うとらえ方をされたことに対する戸惑いがあった.結果的には,その意外性から多くのマスコミに取り上げられ多くの人にアウトリーチできた.学生主体のアウトリーチは,学術的専門性とはまた別の次元でその親しみやすさ,面白さを伝えられるという点で,学問に直接的な興味をもたない人々へのアプローチを可能にする.研究者が先端的な研究内容をアウトリーチするのとは対象者・目的・内容が異なり,一つの効果的な社会へのアプローチ方法であると考えられる.