著者
夏原 由博 神原 恵
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.617-620, 2001-03-30
被引用文献数
9 16

大阪府南部の国土地理情報2次メッシュ「冨田林」「岩湧山」の範囲で,250m方形区単位でのニホンアカガエルの生育環境適合性を卵塊の有無を指標として推定した。現地調査は2000年2月から4月に175方形区で行った。このうち,本種の卵塊が分布していたのは15個であった。地理情報システムによって,方形区ごとの平均標高,平均傾斜角度,土地利用面積率,谷の有無を取得し,これらを2カテゴリー化した値を説明変数として,数量化2類(ダミー変数による判別分析)によって本種卵塊の有無を判別するモデルを推定した。その結果,地形要素が判別に高く寄与し,標高は160m以下,傾斜は10度以下,樹林面積率20%以上で谷の存在する方形区に卵塊が分布すると予測された。対象地2874個のうち,208個で本種が生育可能であると推定された。これらのうち,連続した生育適地の面積が広いほど実際の卵塊出現率が高く,孤立化が局所絶滅からの回復を阻害しているものと考えられた。ロジスティック回帰により方形区5個(3125ha)以上が連続している場合に,期待出現率1が得られた。