著者
今西 利之 神崎 道太郎
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学留学生センター紀要 (ISSN:1881834X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-16, 2008

8冊の日本語教育初級教科書に提示されている語彙の数量的な分析を、特に教科書間に見られる提示語彙の異同の観点から行うとともに、日本語教育の現場において、その数値が意味するところについて考察を行った。その結果、1冊の教科書に提示されている語のうち、他の7冊の教科書と共通している語は2割から3割程度であること、逆に1割程度の語はその教科書にしか提示されていない語であること、日本語能力試験出題基準4級語彙表の語についても、提示するかどうかに教科書間でばらつきがあること、従って、教科書間での収録語彙に大きなばらつきがあることがわかった。この結果を踏まえ、初級語彙の再検討、全体像の把握、学習者や教授者へのわかりやすい形での提示の必要性について述べた。