著者
今西 利之 神崎 道太郎
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学留学生センター紀要 (ISSN:1881834X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-16, 2008

8冊の日本語教育初級教科書に提示されている語彙の数量的な分析を、特に教科書間に見られる提示語彙の異同の観点から行うとともに、日本語教育の現場において、その数値が意味するところについて考察を行った。その結果、1冊の教科書に提示されている語のうち、他の7冊の教科書と共通している語は2割から3割程度であること、逆に1割程度の語はその教科書にしか提示されていない語であること、日本語能力試験出題基準4級語彙表の語についても、提示するかどうかに教科書間でばらつきがあること、従って、教科書間での収録語彙に大きなばらつきがあることがわかった。この結果を踏まえ、初級語彙の再検討、全体像の把握、学習者や教授者へのわかりやすい形での提示の必要性について述べた。
著者
片山 きよみ 舛井 雅子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学留学生センター紀要 (ISSN:1881834X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.25-53, 2006-03-27

初・中級の日本語教科書で取り上げられている副詞の中から、「とても」「すごく」「ひどく」「非常に」「大変」「本当に」の異同について検証する。用例の比較検証によって、それぞれの副詞には口語的か文章語的か、改まった表現かくだけた表現か、主観的か客観的かという対立に加え、種々の構文(否定文、比較構文、命令文、直接的な感謝やお詫びの表現など)における使用制限に違いがあることを明らかにする。
著者
片山 きよみ 上村 文子 舛井 雅子 柳田 惠理子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学留学生センター紀要 (ISSN:1881834X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.39-64, 2008

初級教科書の作成を初めて2年半、ようやく「試用版」の完成にこぎつけることができた。新学期からの試用を前に、ここで一度、これまでの作成過程を振り返ってみることによって、今後の課題をさぐりたい。 私達が目指したのは、熊本で学ぶ留学生に「日本語でコミュニケーションするときに必要な文法」を教える教科書作りである。初級レベルの学習者が「話す」のに必要な文法項目は何か、従来の初級教科書の文法項目の見直しから始めた。何を教え、何を教えないか、どのような順序で提示するか、さらに、その文法項目を各課でどう教えるか、内容についての検討を重ねてきた。このような試行錯誤の過程の中で、私達がこだわった点、作成の方針にした点などを整理し、新教科書の概要と特徴を示した。最後に、参考資料として、「試用版」で扱う文法項目一覧および主用教科書との対比表を付けておく。