著者
神成 文彦
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.570-571, 2009-08-15 (Released:2015-08-04)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
神成 文彦 山口 滋
出版者
慶応義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1.有機薄膜の結晶性の改善に関する実験レーザーアブレーションによる有機薄膜形成時には,わずかな温度上昇によって著しいマイグレーションの改善が見られ,結晶性が改善される。銅フタロシアニン(CuPc)は,可視域に吸収を有するののでHeNeレーザーをわずか1mW/cm^2程度薄膜堆積時に照射することで基板上での薄膜形成過程に寄与し,結晶性が改善される。温度上昇効果は、結晶場による相互作用の強い場合には、その相互作用を増加する方向に働くので,配向性に優れた薄膜が形成される。有機分子のなかでも電気分極率の高い結晶は,基板上での薄膜形成時に電界方向に分極を揃えるように分子が動くために,配向を電界で変化できる。Si基板上に堆積したCuPcでは,電界極性に依存しない著しい結晶性の改善が観測された。しかし,基板の結晶場力が強く,分子配列に影響するような強い相互作用のある条件では、電界による配向の変化は少ない。2.薄膜の電気特性配向性の異なるCuPc薄膜の電気電気伝導率を測定したところ,アモルファス状の薄膜に対して,配向性の改善された薄膜は,面方向の伝導性に上昇が見られた。また,厚さ方向についてはアモルファス性の膜の方が数倍高い伝導性を示し,電界発光素子には適していることが判明した。そこで,アモルファス薄膜の中に部分的に結晶性の高い部分を作製し,電界発光パターンの近視野を観測したところ,まだこの程度の差異では輝度に変化をもたらすほど大きな電流分布にはなっていないことが判明した。