著者
関 勝寿 神谷 準一 宮崎 毅
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.237, pp.213-219, 2005-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
27

湛水浸透条件下においては, 微生物が増殖することによる土壌間隙の目詰まり, すなわちバイオクロッギング現象により, 透水係数が低下することが知られている. この現象がどのように温度依存性を持つのかを実験的に調べた. 豊浦砂を充填したカラムにグルコース溶液を連続的に飽和浸透させたときの飽和透水係数の変化を測定し, さらに好気性細菌数, 糸状菌数, 有機物量 (強熱減量) の変化を調べた.温度条件は, 15, 20, 25, 30℃の4種類を設定し, 実験期間は4, 7, 10日とした. 15℃において飽和透水係数はほとんど変化しなかったが, 20℃, 25℃, 30℃においては, 実験開始後1日以降透水係数が指数関数的に低下した.その低下速度を比較したところ, 25℃で最も透水係数低下速度が大きかった.有機物量, 糸状菌数ともに, 同様に25℃で最大の増加速度を示し, 細菌数の増加速度は30℃ で最大となった. このことから, カラム上層に蓄積した, 多糖類と思われるゲル状の有機物質, そして糸状菌の菌糸が透水係数低下の要因となっていると推測された.