著者
関 勝寿 宮崎 毅 中野 政詩
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.181, pp.137-144,a3, 1996-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
18

土に長期的に栄養水が侵入すると, 土の間隙中の土壌微生物と微生物がつくり出す代謝生成物が水の通り道を塞ぐ現象, いわゆるclogging (目詰まり) 現象が生じ, 土の透水性が低下することが知られている. そこで, 栄養水飽和浸透条件下での透水係数の長期変動を調べ, 深さ0~1cmの層において, 118日間でほぼ2オーダー透水係数が低下することを示した.透水係数低下の第一の原因は, 糸状菌の長い菌糸と微生物の代謝生成物による間隙の閉塞であり, 第二の原因は, グルコースから発生したメタンガスが118日間に表層に最大14%の気相率相当量が溶解せず気泡となって間隙中に閉塞されたことによるものであると説明された.
著者
関 勝寿 神谷 準一 宮崎 毅
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.237, pp.213-219, 2005-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
27

湛水浸透条件下においては, 微生物が増殖することによる土壌間隙の目詰まり, すなわちバイオクロッギング現象により, 透水係数が低下することが知られている. この現象がどのように温度依存性を持つのかを実験的に調べた. 豊浦砂を充填したカラムにグルコース溶液を連続的に飽和浸透させたときの飽和透水係数の変化を測定し, さらに好気性細菌数, 糸状菌数, 有機物量 (強熱減量) の変化を調べた.温度条件は, 15, 20, 25, 30℃の4種類を設定し, 実験期間は4, 7, 10日とした. 15℃において飽和透水係数はほとんど変化しなかったが, 20℃, 25℃, 30℃においては, 実験開始後1日以降透水係数が指数関数的に低下した.その低下速度を比較したところ, 25℃で最も透水係数低下速度が大きかった.有機物量, 糸状菌数ともに, 同様に25℃で最大の増加速度を示し, 細菌数の増加速度は30℃ で最大となった. このことから, カラム上層に蓄積した, 多糖類と思われるゲル状の有機物質, そして糸状菌の菌糸が透水係数低下の要因となっていると推測された.
著者
江口 定夫 山口 紀子 藤原 英司 森 也寸志 関 勝寿
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

土壌中のコロイド粒子に強く吸着する性質を持ち、環境中に存在する放射性核種(^7Be,^<137>Cs,^<210>Pb)をコロイド粒子のトレーサーとみなすことにより、現場土壌中におけるコロイド粒子の輸送時間及び起源を推定する手法を開発した。この手法により、粘土質土壌の暗渠排水及び砂質土壌の浸透水中のコロイド粒子の起源はいずれも主に表層土壌であること、粘土質土壌中のコロイド粒子輸送時間は約35日であること等を明らかにした。
著者
関 勝寿 岩田 幸良 柳井 洋介 亀山 幸司
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.35-44, 2023-11-20 (Released:2023-12-18)
参考文献数
16

土壌の水分特性曲線の近似ではvan Genuchten のVG モデルが広く使われているが,団粒構造が発達した黒ボク土のような土壌では,VG モデルを足し合わせるDurner(1994) のdual-VG モデルがより適している.本研究では,SWRC Fit のdual-VG モデルによる非線形回帰のアルゴリズムを改良した.すなわち,水分特性曲線を高水分領域と低水分領域に分割し,それぞれをVG モデルで近似して得たパラメータをdual-VG モデルの初期値として与えて近似するという手法である.日本全国のアスパラガス圃場を中心とした試験圃場の実測データによりこの手法の精度を検証した.開発された手法により,検証されたすべての土壌において大域解とほぼ等しい適合度の曲線が得られることが示された.また,修正AIC によるVG モデル,dual-VG モデル,dual-VG-CH モデル(dual-VG モデルにおいてα1=α2 と したモデル)の比較をしたところ,黒ボク土,低地土,褐色森林土において,dual-VG モデルが最も適している試料が多いことが示された.
著者
関 勝寿 取出 伸夫
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.154, pp.19-27, 2023-07-20 (Released:2023-07-25)
参考文献数
20

水分保持曲線-不飽和透水係数連結モデルのMualemモデルとBurdineモデルを一般化した一般化透水モデルに対して,Brooks and Coreyモデル,van Genuchtenモデル,Kosugiモデルの水分保持関数から不飽和透水性係数の閉形式解を導出する方法を解説した.さらに,線型結合モデルに対する不飽和透水係数の閉形式解の導出方法を示した.関連する議論として,一般化透水モデルの有用性を示し,また,飽和近傍で透水性曲線の傾きが極めて大きくなり,不飽和透水係数が飽和透水係数に対して不自然に小さくなることを避けるための修正式の一般式を示した.
著者
関 勝寿
出版者
東洋大学
雑誌
経営論集 (ISSN:02866439)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.13-26, 2011-11