著者
神野 洋平 Michele STOCCHERO Marco TOIA Jonas P. BECKTOR
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.116-125, 2019-06-30 (Released:2019-08-10)
参考文献数
54

インプラント治療は,口腔内欠損補綴治療になくてはならない治療オプションの一つである.初期固定はオッセオインテグレーション獲得の必要条件であり,即時負荷・早期負荷が一般的な術式になるに従い,より安定した初期固定が要求されるようになってきた.高い初期固定値獲得のため,インプラント体のマクロ・マイクロレベルのデザインの変更,新しい術式など多くの工夫が紹介されてきた.アンダーサイズドリリングテクニックは最も一般的に臨床採用されているインプラント外科手技である.埋入するインプラント体の直径より小さな径の埋入窩を形成することにより,インプラント体と骨の界面で生じる圧縮応力に期待し初期固定を得る術式である.外科医は,埋入トルク値としてその効果を感じることができる.アンダーサイズドリリングは広く普及した術式であるが,まだまだ解明されていない側面も多い.インプラント体埋入時の大きな圧縮力が周囲骨組織の微小損傷を惹起し,治癒期間中にネガティブな影響を与える.すなわち骨の材料特性の低下・インプラント体の安定の低下・周囲骨の吸収・そして最悪の場合インプラント体の喪失につながる可能性があるという仮説のもと,アンダーサイズドリリングテクニックについてさらなる理解を深めることが本論文の目的である.われわれの研究の着想に至った背景および,第48回日本口腔インプラント学会学術大会・シンポジウム10で発表した研究結果を紹介する.
著者
神野 洋平
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-50, 2014 (Released:2014-01-31)
参考文献数
2

症例の概要:患者は初診時61歳の男性.悪性リンパ腫に対する放射線治療後の部分無歯顎に対する補綴治療の症例である.765|部にインプラントを埋入し、コーヌス型オーバーデンチャーで補綴を行った.考察:インプラント体埋入位置が限定され,最終補綴装置の設計も力学的に問題のある設計となった.しかし,最終補綴装置装着後の定期的なメインテナンスによりインプラント体自体に大きな問題は生じていない.今後さらに経過を観察していく必要がある.結論:放射線治療後の下顎部分無歯顎症例に対し,インプラントを用いたコーヌス型オーバーデンチャーで咬合支持を再建することができた.