著者
福家 佑亮
出版者
京都倫理学会
雑誌
実践哲学研究 = Studies for practical philosophy (ISSN:02876582)
巻号頁・発行日
no.38, pp.61-86, 2015-10

許諾条件により本文は2016-10-30に公開
著者
福家 佑亮
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.4-10, 2018-09-29 (Released:2019-08-01)
参考文献数
17

本論稿の目的は、医療従事者の頭脳流出に歯止めをかけるために、途上国が自国の医療従事者の出国の権利を一時的に制限することはいかなる条件の下で正当化可能であるのか、という問題を検討することである。この問題を考察するにあたって、医療従事者が負う政治的責務に焦点が当てられる。政治的責務の根拠として親子関係や友情との類比関係に訴える連帯責務論も利益の自発的享受に着目するフェアプレイ論も、頭脳流出の文脈においては、政治的責務の導出に失敗している。本論稿は、公衆衛生倫理の枠組みを援用し、過重な負担を負わない限り、基本的人権の維持と創設に貢献せよと命じる正義の自然的責務論が、医療従事者の政治的責務を正当化するのに有望であると論じる。しかし、正義の自然的責務論は、先進国に住まう人々に過重な政治的責務が課せられることを正当化する恐れがある。