著者
中﨑 寿隆 中野 さつき 瀧澤 有珠 水野 風音 本田 美紗 佐々木 悟郎 小橋 優子 福島 裕之
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.142-146, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
10

ステロイド薬を含む治療を行っていた川崎病患者が,ステロイド薬の中止直後に股関節と膝関節の痛みにより歩行できなくなった.MRIにより,両側股関節に炎症が存在することに加え,大腿骨頭壊死を認めないこと,化膿性股関節炎の可能性が低いことが明らかとなり,安全にステロイド薬を再開することができた.ステロイド薬の再開により関節症状は速やかに軽快した.ステロイド薬の中止後6か月で再検したMRIでは関節炎の改善が確認され,若年性特発性関節炎などの慢性炎症性疾患は否定的であり,本例の関節炎は川崎病の随伴症状であったと判断した.急性期と回復期のMRIは川崎病患者に生じた関節炎の原因診断と治療方針の決定に有用であると思われる.
著者
前田 潤 安田 幹 小柳 喬幸 柴田 映道 河野 一樹 古道 一樹 福島 裕之 山岸 敬幸
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.186-191, 2012 (Released:2012-11-26)
参考文献数
16

Fontan型手術後遠隔期の合併症である蛋白漏出性胃腸症(PLE)は予後不良であり, その治療はいまだに確立されていない. 近年, 肺血管拡張薬であるsildenafil(SIL)がPLEを改善させるという報告が散見される. 今回Fontan型手術(TCPC)後にPLEを発症し, SIL投与により症状の改善を得た3症例を経験した. 【症例1】単心室の21歳, 男性. TCPC6年後にPLE発症. SIL 30 mg/日内服を開始, 40 mg/日まで増量し, 浮腫が軽快. 【症例2】単心室, 左肺動静脈瘻の17歳, 男性. TCPC2年後にPLE発症. SIL 1 mg/kg/日内服を開始, 4 mg/kg/日まで増量し, 浮腫, チアノーゼが改善. 【症例3】両大血管右室起始の12歳, 女児. TCPC1年後にPLE発症. steroid不応性であり, SIL 0.5 mg/kg/日内服を開始, 8 mg/kg/日まで増量し, 腹水が改善. 3症例ともSILの副作用は認められなかった. SILはPLEに対する安全な治療薬で, 用量依存性に効果を示す症例もあることが示唆された.