- 著者
-
前田 潤
安田 幹
小柳 喬幸
柴田 映道
河野 一樹
古道 一樹
福島 裕之
山岸 敬幸
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
- 雑誌
- 日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.3, pp.186-191, 2012 (Released:2012-11-26)
- 参考文献数
- 16
Fontan型手術後遠隔期の合併症である蛋白漏出性胃腸症(PLE)は予後不良であり, その治療はいまだに確立されていない. 近年, 肺血管拡張薬であるsildenafil(SIL)がPLEを改善させるという報告が散見される. 今回Fontan型手術(TCPC)後にPLEを発症し, SIL投与により症状の改善を得た3症例を経験した. 【症例1】単心室の21歳, 男性. TCPC6年後にPLE発症. SIL 30 mg/日内服を開始, 40 mg/日まで増量し, 浮腫が軽快. 【症例2】単心室, 左肺動静脈瘻の17歳, 男性. TCPC2年後にPLE発症. SIL 1 mg/kg/日内服を開始, 4 mg/kg/日まで増量し, 浮腫, チアノーゼが改善. 【症例3】両大血管右室起始の12歳, 女児. TCPC1年後にPLE発症. steroid不応性であり, SIL 0.5 mg/kg/日内服を開始, 8 mg/kg/日まで増量し, 腹水が改善. 3症例ともSILの副作用は認められなかった. SILはPLEに対する安全な治療薬で, 用量依存性に効果を示す症例もあることが示唆された.