著者
三浦 義正 矢野 智則 坂口 美織 井野 裕治 角田 真人 Tsevelnorov Khurelbaatar 小林 泰俊 坂本 博次 林 芳和 砂田 圭二郎 大澤 博之 福嶋 敬宜 山本 博徳
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1747-1755, 2018-12-25

要旨●小腸腫瘍の治療前評価における超音波内視鏡(EUS)の役割は,質的診断と腫瘍深度診断であり,内視鏡治療に直結するため重要である.しかし,小腸腫瘍は上皮性腫瘍,非上皮性腫瘍共に発見時に内視鏡治療になる可能性は低いため,臨床でのEUSの使用は限られる.一方,Helicobacter pylori陰性者が増加する中で,十二指腸腫瘍を発見・治療する機会が増えている.特に表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)の治療においては,腫瘍のサイズ,形態,リスク・ベネフィットを考慮して治療法を選択するが,EUSは手技の安全性を確保する上で重要である.本稿では,小腸腫瘍に対する診断・治療について,実臨床で比較的遭遇する疾患を中心に解説する.
著者
田口 昌延 俵藤 正信 森嶋 計 清水 敦 佐田 尚宏 福嶋 敬宜 安田 是和
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.479-485, 2013 (Released:2013-07-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

症例は50歳女性.検診の腹部エコー検査で肝腫瘤を指摘され,精査目的に当院へ紹介となった.HBs抗原とHCV抗体は陰性,HBs抗体とHBc抗体が陽性で肝機能は正常であった.腹部エコー検査では肝S4表面に24×15 mm大の低エコー腫瘤を認めた.造影エコー検査(ソナゾイド)では早期動脈相で強く全体が濃染され,肝静脈への還流像が描出された.Kupffer相では欠損像を呈した.腹部造影CT,Gd-EOB-DTPA造影MRIでは動脈相で濃染され,門脈相でwash outされた.画像所見とoccult HBV感染から肝細胞癌が否定できず,肝S4亜区域切除術を施行した.病理組織学的には上皮様の紡錘形細胞と豊富な血管成分を中心とした腫瘍で脂肪成分はわずかであった.免疫染色でHMB-45,MelanA,αSMAが陽性で肝血管筋脂肪腫と診断した.肝血管筋脂肪腫は時に肝細胞癌との鑑別が困難である.