著者
福庭 雅洋 本間 之夫 阿曽 佳郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1410-1416, 1992
被引用文献数
6

30例の前立腺肥大症例に対し, フランステクノメドインターナショナル社製プロスタトロンを用いて経尿道的単回高温度療法を試み, 自覚的症状, 他覚的所見の変化を検討し, その効果を判定した. 治療方法は, 外来通院患者を対象とし, 尿道に挿入した冷却装置付きの20Frのカテーテルから前立腺に対し1,296MHzマイクロ波照射を1時間, 1回のみ施行した. 治療中の最高出力は症例によって異なり, 20~40W (37.5±5.7W: mean±S. D.) であった. 30例全例で有効性を判定した. 効果判定には, 自覚症状, 他覚的所見 (残尿量, 平均尿流量率) をスコア化し, 治療前と治療後8週でスコアを比較した. 自覚症状ではスコアが減少したものは26例 (87.7%), 他覚所見では21例 (70%) であった. 自覚症状, 他覚所見の各スコアを総合した判定では, スコア合計値の減少率が25%以上のものを『有効』とすると, 有効性を24例 (80%) に認めた. 副作用としては, 血尿, 尿意切迫感を全例に認めたが, 重篤なものはなかった. 単回の外来治療で80%の有効率を得たことは, 前立腺肥大症に対する本治療の有用性を示すものである.