- 著者
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福本 久人
田端 吉彦
岡本 美幸
筧 重和
- 出版者
- 東海北陸理学療法学術大会
- 雑誌
- 東海北陸理学療法学術大会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.28, 2012
<b>【目的】 </b>近年、高校卒業後の入学生における文章読解能力や文章表現能力の低下が著しい状況がある。文章読解能力の低下により、漢字が読めない、教科書や文献の内容について理解できないことが起き、定期試験の不合格や留年、もしくは退学につながるケースも少なくない。また、臨床実習においてはレポート作成や症例報告書の作成などの機会が設けられるが、その作成に膨大な時間を費やしたり作成自体ができないこともある。このような事に対応するため、当校では入学後コラムなどを用いて文章読解能力や文章表現能力の向上を試みているので報告する。<br><b>【方法】 </b>対象は、理学療法学科1年生40名とした。方法は、新聞のコラムを使用して行っている。最初の段階として、コラムを書き写すことからはじめ、次に語彙調べおよび文章内容の段落分けを行わせ、コラム内容についての理解度の向上に取り組んだ。最終段階として、文章内容の要約とタイトル設定を指示した。特に文字制限は設けないものの内容の理解度および文章表現の適切化についての指導を行っている。頻度としては、週に3回より開始し5回を限度として行っている。<br><b>【結果】 </b>最初の文章を書き写す段階では、書き写すだけでも非常に時間がかかる学生や誤字脱字が多い学生も見られた。しかし、これは繰り返し行うことで徐々に改善が見られた。次の内容についての理解の文書化については、何を書いてよいのかわからない、コラムの書き写しになってしまう、など多くの学生が文章化できない状況であった。個別に指導を行うことで改善されていったが、問題として非常に膨大な時間を費やさないとできないことであった。内容を理解するために必要な時間、理解した内容を文章表現化するための時間は、指導を繰り返す中でも改善されないケースも見られた。<br><b>【考察】 </b>高校までの教育課程の中で、コラム程度の文字数であっても文章を読む機会が少ないこと、内容を理解し文章化する機会が少ないことが影響しているのではないかと考える。また、携帯電話の普及や電子メールの普及により、他者とのコミュニケーションをはかる機会が少なくなっていることも原因の1つではないかと考える。電子メールなどでは、いわゆる略語や絵文字が乱用されており、時・所・場合に応じた適切な表現や言葉をしようされることがないため、電子メールの活用によって文章表現能力の向上にはつながっていかないと考える。<br><b>【まとめ】 </b>今回、入学生に対し文章読解能力および文章表現能力の向上を目的に、コラム課題を実施した。文章を読む、文章を書く事を習慣化させることで、一定の改善傾向はみられた。今後の課題としては、より有効な方法へと更に検討が必要ではないかと考える。<br> 本発表を行うにあたり、あいち福祉医療専門学校倫理委員会の承認を得ている。